DQN
DQN(ドキュン)とは、日本語の文脈で「粗暴」「非常識」「軽率」「反社会的」「低脳」な者、またはそのように見える風貌の者へ使われるインターネットスラング・蔑称の一つである[1][2]。
概要
「DQN」とは、軽率そうな者、実際に軽率である者、粗暴そうな風貌をしている者、実際に粗暴な者、非常識で知能が乏しい者を指す時に用いる[2][1]。
2010年時点で調査では認知度が高く、「一般的なインターネットスラング」であるとみなされている[3]。1994年から2002年までテレビ朝日で放送されていた番組『目撃!ドキュン』が由来とされる[4]。目撃!ドキュンの内容は、離婚などで生き別れの親子が対面などというものであった。そのため「16歳でできちゃった結婚して子供が生まれて、20歳になったら離婚して、40歳になったら目撃ドキュンに出ている人たち」という意味で2ちゃんねるを中心にDQNと呼ぶようになった。[要出典]
法的な観点
「航空旅客の手荷物運搬や宅配業務及び労働者派遣などを行う会社の代理人である弁護士」に対して[1]、「DQN」がその他の表現と並んで「いずれも侮蔑的な表現を使って原告を誹謗中傷する内容であると認められ、原告の社会的地位を低下させるものであると認められる」(東京地裁平成15年(2003年)9月17日判決、控訴審東京高判平成16年(2004年)1月29日も結論を維持)と判示され、初めて司法の場によって「DQN」が侮蔑語として認められたことが示されている[5]。
プロバイダ責任制限法の関連の情報を伝えるプロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会[6]が、2007年2月に策定(2011年9月改訂)した「発信者情報開示関係ガイドライン」[7]の中で「DQN」が「馬鹿息子」「無能恫喝社長」といった言葉と共に「名誉毀損、プライバシー侵害」の項目の例に記載された[1]。 ガイドラインや判決により、今後は匿名掲示板において「DQN」の言葉を用いると、書き込んだ者のリモートホストや氏名などの個人情報が開示される危険性があると、ニュースサイトなどのメディアで報道されたものの[8][9]、テレコムサービス協会倫理委員会の桑子博行委員長は、「(このガイドラインは)これまでの判例で明白になったことと、それについて対応する手順を明確にしたもの。」とし、プロバイダなどに強制するものではないので、即座に「DQN」と書き込んで実名開示になるということではないと強調した[1]。
報道や作品での使用
川付近でBBQをするような非常識な人々に用いられる。玄倉川水難事故と似たような事件が何度も起きている[10][11]。
2016年1月、産経新聞が記事の見出しで「成人式DQN」の語を用いた[12][13][14][15][16][17][18](その翌年の2017年にも同様に「成人式DQN」の語を使用[19])。
2022年にお笑いコンビ「三四郎」が「三四郎のオールナイトニッポンZERO」にゲスト出演した、解散発表しているお笑いコンビ「ピスタチオ」伊地知大樹がDQNであったと明かした[20]。
朝日新聞社が2020年に絵を描く悦び・楽しさに目覚めたDQNが美大を目指すスポ根受験マンガとして「ブルーピリオド」を紹介[21]。
週刊女性は、交通事故・飲酒運転が相次いでいる電動キックボードに「DQNの乗り物」状態になっていると報道している。ヘルメット義務化にすれば衰退するとし、義務化を要求している[22]。
同綴異義語
2015年2月26日に新たに公表されたグーグルの画期的な人工知能が「DQN」と命名され、日本では話題を呼んだ[23]。なお、人工知能「DQN」の開発者の一人であるデミス・ハサビスは日本で使われている「DQN」という言葉を知っている模様であった[24]。
脚注
- ^ a b c d e “「DQN」は名誉毀損 2ちゃん語が危ない”. J-CAST ニュース (2007年2月28日). 2023年2月3日閲覧。
- ^ a b 牧野恭仁雄『子供の名前が危ない』ベストセラーズ(ベスト新書)、2012年。20頁。
- ^ “「orz」「DQN」「ノシ」…ネットスラングいくつ知ってる?”. MSN産経ニュース. (2010年11月10日). オリジナルの2010年11月13日時点におけるアーカイブ。 2022年9月4日閲覧。
- ^ “グーグルAI、その名もDQN! 超高性能だが、「頭悪そう〜」”. 産経ニュース. (2015年2月26日). オリジナルの2015年2月27日時点におけるアーカイブ。 2015年2月27日閲覧。
- ^ 判決文では、「「DQN」が侮辱的表現であることは」、証拠「より明らかである。」と判示されている
- ^ プロバイダ責任制限法対応事業者協議会
- ^ プロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会 (2011) (PDF). プロバイダ責任制限法発信者情報開示関係ガイドライン 2022年9月4日閲覧。.
- ^ “「DQN」は名誉毀損 2ちゃん語が危ない”. J-CAST ニュース (2007年2月28日). 2022年9月4日閲覧。
- ^ “「DQN」で実名開示も?悪質書き込み対策で業界ガイドライン”. IT+PLUS (2007年2月26日). 2007年3月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年9月4日閲覧。
- ^ “日付・人数が完全酷似 多くの人々に悪寒が走った「DQNの川流れ」 バーベキューの18人は全員無事救出”. ニコニコニュース. 2023年8月14日閲覧。
- ^ “DQNの川流れ!奇しくも20年前にも玄倉川で同様の水難事故が!自業自得との声も。”. ニコニコニュース. 2023年8月14日閲覧。
- ^ “【成人式DQN】 警察官70人ズラリ…6年前5人逮捕の秋田市、さすがに粛々と”. 産経ニュース. (2016年1月10日) 2022年9月4日閲覧。
- ^ “【成人式DQN】 超ド派手…花魁姿にカラフル羽織袴 北九州、周辺・お祭り騒ぎ…式典・静粛の棲み分け”. 産経ニュース. (2016年1月10日) 2022年9月4日閲覧。
- ^ “【成人式DQN】 「なめんじゃねー」拡声器で叫びステージに…代表者も反撃 水戸、警察と一時にらみ合い”. 産経ニュース. (2016年1月11日) 2022年9月4日閲覧。
- ^ “【成人式DQN】 「うるさい、おまえ、どこのやつだ」路駐男性に因縁つけ平手打ち 成人式帰りの19歳を逮捕 愛知”. 産経ニュース. (2016年1月11日). オリジナルの2016年1月13日時点におけるアーカイブ。 2022年9月4日閲覧。
- ^ “【成人式DQN】 成人式警戒中の警察官に向けて「改造車」走行、停止せず 公妨容疑で新成人?男8人逮捕”. 産経ニュース. (2016年1月11日). オリジナルの2016年1月13日時点におけるアーカイブ。 2022年9月4日閲覧。
- ^ “【成人式DQN】 大荒れの成人式で警備強化も 水戸の式典、後味悪く”. 産経ニュース. (2016年1月11日) 2022年9月4日閲覧。
- ^ “【成人式DQN】 カラオケ店で暴行疑い 式後の19歳少年”. 産経ニュース. (2016年1月11日). オリジナルの2016年1月13日時点におけるアーカイブ。 2022年9月4日閲覧。
- ^ “【成人式DQN】 「なめんなよ!」「やってやるぜ」 ステージ乱入を制止…茨城・つくば市で式典が一時中断 追突事故の市長は謝罪…”. 産経ニュース. (2017年1月8日) 2022年9月4日閲覧。
- ^ “三四郎・小宮浩信 解散ピスタチオ・伊地知に「ただのDQN」「〝昔の吉本〟って感じ」”. 東スポWEB (2022年5月28日). 2023年2月3日閲覧。
- ^ “DQNが美術でスポ根を(小原篤のアニマゲ丼):朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル (2020年3月29日). 2023年2月3日閲覧。
- ^ “交通事故・飲酒運転相次ぐ電動キックボードに「DQNの乗り物」、若者に人気のはずが「シンプルにダサい」SNSで冷ややか視線、ヘルメット義務化なら衰退へ”. 週刊女性PRIME (2024年6月18日). 2024年6月19日閲覧。
- ^ “グーグル開発の人工知能DQN ネットでは「命名事故?」「奇跡的」”. withnews. (2020年8月8日) 2022年9月4日閲覧。
- ^ 羽生善治、NHKスペシャル取材班『人工知能の核心』NHK出版、2017年、51頁。ISBN 978-4-14-088511-6。
参考文献
- オタク文化研究会『オタク用語の基礎知識』マガジン・ファイブ、2006年。ISBN 4-434-07396-6。