Amiga CD32
メーカー | コモドール |
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種別 | 据置型ゲーム機 |
世代 | 第5世代 |
発売日 | 1993年9月 |
CPU | Motorola MC68020 |
対応メディア | CD-ROM |
対応ストレージ | バッテリーバックアップ |
コントローラ入力 | ケーブル |
互換ハードウェア | Amiga 1200 |
前世代ハードウェア | CDTV |
Amiga CD³²(アミーガシーディーサンジュウニ)は1993年9月にコモドールから発売されたゲーム機である。
概要
パソコンのAmigaシリーズを擁するコモドール社は以前からCDベースのマルチメディア機器に興味を示しており、オランダフィリップス社のCD-iに対抗してCDTVと言うマルチメディア機器を1991年にリリースしたが、「マルチメディア機」と言うコンセプトが明確ではなくコンシューマーにアピールできずに商業的に失敗した。そこでマルチメディアと言う曖昧な商品を開発するのを避け、ゲーム機として開発されたのがAmiga CD32である。Amigaシリーズの初代機が元々パソコンではなくゲーム機として企画されていた経緯を考えると、ある意味Amigaシリーズの原点回帰を狙った製品である。
世界初の32ビットゲーム機を標榜していた(が、実際はFM TOWNS マーティーの方が早い)。また、拡張モジュールとして当時最先端だったMPEG-1デコーダーがある。これでビデオCDを用いた映画の視聴が出来る、と言うのが売り文句だった。
コモドールはIBM PCやMacintoshとのシェア争いに負けた結果、既に北米市場のシェアを失っており、1993年当時はヨーロッパを中心に販売戦略を展開していた(が、それすらも失いつつあった)。そのためライバル機としては当時欧州で最も普及していたゲーム機であるメガドライブ、およびメガドライブのCDドライブ拡張機能であるメガCDが想定されていた。コモドール社はハードウェアメーカーらしく、Amiga CD32のメガドライブに対するハードウェアの優位性を強調する戦略を取るが、ライバル機に対する優位性が微塵も感じられないクソゲー『Dangerous Streets』(ゲーム雑誌『Amiga Power』にて100点満点中3点をつけられた)をバンドルする暴挙に出て非難された。サードパーティー製の『ZOOL』などが良作ゲームとして知られているが、『ZOOL』はAmiga CD32を代表するほどのキラーソフトにはなり得ず、ゲームのできばえも当時人気があったメガドライブのアクションゲーム、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』に遠く及ばなかった。
CDTVの失敗の理由のひとつとして、CDTVはCD-ROMドライブを搭載したマルチメディア機を謳いつつも実際はAmiga 500のハードの流用であったため、それを知ったAmigaユーザーはわざわざCDTVを買うのではなくAmiga 500対応のCD-ROMドライブがリリースされるのを待つことにして買い控える結果となった、と言うことがあった(CDTV用ソフトにも対応したAmiga 500用CD-ROMドライブは1992年にAmiga A570としてコモドールからリリースされ、その時点でCDTVの存在意義は完全に無くなった)。前世代機でこのような失敗を犯していたにもかかわらず、Amiga CD32も基本的にはAmiga 1200のハードウェアの流用であり、Amiga 1200にカスタムチップ"Akiko"を積んだCD-ROMドライブを接続しただけの代物であった。その時点でAmigaユーザーにとってはAmiga CD32の存在意義は無かった。
時を前後して、エレクトロニック・アーツ社のトリップ・ホーキンスが新世代機3DOを発表したり、AtariもAtari Jaguarを発表するなど、ゲーム業界では次世代機に向けた動きが盛んであったため、ゲームファンに対するAmiga CD32のインパクトもさほど無かったのも事実である。また1993年当時はFPSや対戦型格闘ゲームなどの新ジャンルがゲーム市場で勃興しつつあったが、Amiga 500以来の欧州の中小スタジオがメインであるサードパーティーたちには新ジャンルを開拓する力は無く、Amiga CD32は欧米初の32ビット次世代機でありながら、旧Amiga用にリリースされた過去作品と似たような作品が多くキラーソフトが無かったことも次世代機としてのヒットに結びつかなかったことの一因である。
Amiga CD32の失敗の原因としては上記のようなマーケティング上の不備があった。アメリカにも出荷が予定されていたが特許問題が発生したために販売が許可されず、解決に手間取っている間にコモドールは倒産してしまう。パソコン事業で苦戦していたコモドールにとってはゲーム機事業が最後の希望であったが、ヨーロッパ市場でのAmiga CD32の売り上げはコモドールの経営を支えるには至らなかった。
とは言え当時の時点では次世代CD-ROMゲーム機としての売り上げはそれなりに好調であった。リリースから半年後に製造元が倒産した不遇のゲーム機ではあるが、むしろ1993年のクリスマス商戦におけるAmiga CD32の利益によって死に体のコモドールが半年間延命できたとも言える。
事実上、Amiga CD32がコモドール社最後のハードとなった。1994年4月のコモドール倒産までに10万台ほど売れたと推測されている。
関連項目
- Amiga
- CD-i - フィリップスが1991年にリリースしたマルチメディア機。
- メガCD - セガが欧州で1993年(日本では1991年)にリリースしたゲーム機。
- 富士通 FM TOWNS マーティー - パソコンのFM TOWNSをゲーム機としてリリースすると言う、Amiga CD32と似たコンセプトのゲーム機。製造元の富士通は大失敗したが、本業のパソコン事業が好調であったために倒産はしていない。