ジャガー
ジャガー | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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ジャガー Panthera onca
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保全状況評価[1][2] | |||||||||||||||||||||||||||||||||
NEAR THREATENED (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) ワシントン条約附属書I
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Panthera onca (Linnaeus, 1758)[3][4][5] | |||||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
ジャガー | |||||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Jaguar | |||||||||||||||||||||||||||||||||
分布域
赤色: 現在の範囲、ピンク色: 過去の範囲 |
ジャガー(Panthera onca)は、食肉目ネコ科ヒョウ属に分類される食肉類。
分布
形態
体長120-185cm、肩高68 - 75cm[4]。尾45-75cm。メキシコでの雄の平均体重は約50kg[6][要検証 ]。ブラジルでは平均体重オス94.8kg・メス77.7kg、ベネズエラでは平均体重オス95kg・メス56.3kgという報告例がある[4]。特にブラジルのパンタナルの個体群が最も大型化すると言われ、この地域の雄は体重が136kgを超えることも珍しくない[7][要検証 ]。とくに大型のオスは体重158kgに達する[8][9]。 通常はメスよりもオスの方が10 - 20 %大型になる[4]。ネコ科の現生種ではトラ・ライオンに次いで大型で、南北アメリカに分布するネコ科の現生種では最大種[4]。尾はやや短い[3]。ヒョウと比較するとより全長や体重・足裏は大型で、尾が短い[4]。また体格に比べ頭骨が大きく、噛む力が非常に強いのが特徴。脚は近いサイズのライオンやトラに比べて短いが筋肉質で、ジャングルでの生活や泳ぎに発揮される[10]。
体色は淡黄色や黄褐色で、黒い斑点の周囲に黒い斑紋が囲む形状の斑紋(梅花紋)が入る[3]。また、ヒョウと同様に黒変種(ブラックジャガー)も存在する。現存するネコ科では本種が最もスミロドンの体型に近いともいわれる。
森林に棲息する個体は平原の個体よりも毛並みが黒く、体躯も小さいとされる[11]。
ジャガー(Jaguar)という名前は南アメリカインディアンの“ヤガー”という言葉から来ており、これは「一突きで殺す者」という意味が含まれている。なお、雄ジャガーと雌ライオンにも種間雑種を生じることができ、この雑種はジャグリオンと呼ばれる。同じく南米に生息する小型ネコ科動物のオセロットの名前の由来であるナワトル語の"オセロトル"は本来ジャガーを指す。他にもジャガーにちなんだ名称を持つ動物にジャガーネコやジャガランディがいる。旧大陸に生息するヒョウとは別種だが、姿が似ていることから漢名の"美州豹"(美州はアメリカ大陸)や、古訳の"アメリカヒョウ"、「豹の戦士」や「豹(ジャガー)マン」など、しばしばなぞらえられる。古代中米では「雨の神」とされた。アステカの主神のひとりであるテスカトリポカの象徴でもある。
分類
最大9種の亜種が同定されている。以下の分類はMSW3(Wozencraft,2005)に従う[5]。英名および和名は『世界哺乳類和名辞典』[12]による。
- Panthera onca onca (Linnaeus, 1758) - アマゾンジャガー
- Panthera onca arizonensis (Goldman, 1932) - アリゾナジャガー
- Panthera onca centralis (Mearns, 1901) - パナマジャガー
- Panthera onca goldmani (Mearns, 1901) - ユカタンジャガー
- Panthera onca hernandesii (Gray, 1857) - メキシコジャガー
- Panthera onca palustris (Ameghino, 1888) - パラナジャガー
- Panthera onca paraguensis (Hollister, 1914)
- Panthera onca peruviana (deBlainviile, 1843) - ペルージャガー
- Panthera onca veraecruscis (Nelson & Goldman, 1933) - テキサスジャガー
ただし、近年の形態学的・遺伝学的研究からは、亜種への分化を支持するだけの十分な証拠が見つかっていない。このためネコ科の分類改訂に際して、ジャガーを単型種とする提案もある[13]。Eizirik & Kim (2001) は、亜種と見なしうるほどの遺伝的分化は確認できないながらも、メキシコ・グアテマラ、中米南部、アマゾン北部、アマゾン南部の4種類の系統地理学的集団が見られるとし、Ruiz-Garía & Vásquez (2013) もグアテマラのジャガーの遺伝的多様性レベルが南米のジャガーに比べて低いことを指摘した。近年の高精度な遺伝子解析でも、地域ごとの遺伝的分化が見られることが報告されている[14]。
生態
密生した熱帯雨林からまばらな林、草原や沼地に至るまで様々な環境に生息し、主として夜行性で単独生活をしている。
中南米における頂点捕食者の地位にあり、地表のみならず樹上、さらには水中まで、大小問わずあらゆる動物を食餌とする。ペッカリー類、マザマ属Mazama・アメリカヌマジカなどのシカ類、バク類、アグーチ属Dasyprocta・オマキヤマアラシ属Coendu・カピバラ・ヌートリアなどの齧歯類、オオアリクイ・コアリクイ属Tamanduaといったアリクイ類、ココノオビアルマジロ属、フタユビナマケモノ科・ミユビナマケモノ科といったナマケモノ類、ホエザル属・ヨザル属Aotusなどの霊長類、カワウソ類・ブタバナスカンク属Conepatus・オセロット・キンカジューなどの他の食肉類、オポッサム属Didelphis、ホウカンチョウ属Crax・アメリカトキコウ・シロエンビコウCiconia maguari・アメリカヘビウ・ナンベイアオサギArdea cocoiなどの鳥類、ナンベイヨコクビガメ属・ナンベイリクガメ属などのカメ、グリーンイグアナ、カイマン属のワニ、オオアナコンダ・ボアコンストリクターなどのヘビ、カエル、ナマズ類やピラルクーなどの魚類を食べる[4]。一方で警戒心が強く、家畜や人を襲う事は稀だとされる。数平方キロに及ぶ縄張りを単独で維持し、排泄物や爪とぎでマーキングしている。
出産は2年に1回。妊娠期間は91 - 111日[4]。1 - 4匹を産む[3][4]。生まれた子は2年以上母親と暮らし、狩りの技術を習得する[15][出典無効]。
画像
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動物園のジャガー
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アルゼンチンで保護されたジャガー
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黒変種は6%ほどの割合で誕生する。
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ブラックジャガー
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母親は、子を運ぶ際に首を噛む
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トロント動物園のジャガー
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バクを襲うジャガーの絵
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雄ジャガーと雌ライオンの雑種、ジャグリオン
関連項目
脚注
注釈
出典
- ^ Appendices I, II and III<http://www.cites.org/> (accessed 17/6/2017)
- ^ Caso, A., Lopez-Gonzalez, C., Payan, E., Eizirik, E., de Oliveira, T., Leite-Pitman, R., Kelly, M. & Valderrama, C. 2008. Panthera onca. The IUCN Red List of Threatened Species 2008: e.T15953A5327466. doi:10.2305/IUCN.UK.2008.RLTS.T15953A5327466.en Downloaded on 17 June 2017.
- ^ a b c d 成島悦雄 「ジャガー」『世界の動物 分類と飼育2 (食肉目)』今泉吉典監修、東京動物園協会、1991年、162頁。
- ^ a b c d e f g h i Kevin L. Seymour, "Panthera onca," Mammalian Species, No. 340, American Society of Mammalogists, 1989, Pages 1-9.
- ^ a b W. Christopher Wozencraft, "Panthera onca," Mammal Species of the World, (3rd ed.), Don E. Wilson & DeeAnn M. Reeder (ed.), Volume 1, Johns Hopkins University Press, 2005, Pages 546-547.
- ^ Rodrigo Nunez, Brian Miller and Fred Lindzey, "Food habits of jaguars and pumas in Jalisco, Mexico," Journal of Zoology, Volume 252, Issue 3, 2000, Pages 373-379, doi:10.1111/j.1469-7998.2000.tb00632.x
- ^ “Jaguar SSP - Facts Sheet”. 2012年1月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年2月3日閲覧。
- ^ Nowak, Ronald M (1999). Walker's Mammals of the World. 2. Baltimore: Johns Hopkins University Press. 第831項. ISBN 978-0-8018-5789-8.
- ^ Burnien, David; Wilson, Don E. (2001). Animal: The Definitive Visual Guide to the World's Wildlife. New York City: Dorling Kindersley. ISBN 978-0-7894-7764-4.
- ^ All About Jaguars: ECOLOGY
- ^ Nowell, K.; Jackson, P., eds. (1996). "Panthera Onca" (PDF). Wild Cats. Status Survey and Conservation Action Plan. Gland, Switzerland: IUCN/SSC Cat Specialist Group. IUCN. 第118–122項.
- ^ 『世界哺乳類和名辞典』平凡社、1988年、317頁。
- ^ Kitchener, A. C.; Breitenmoser-Würsten, C.; Eizirik, E.; Gentry, A.; Werdelin, Lars; Wilting, A.; Yamaguchi, N.; Abramov, A. V. et al. (2017). A revised taxonomy of the Felidae : The final report of the Cat Classification Task Force of the IUCN Cat Specialist Group. p. 70. ISSN 1027-2992 .
- ^ Wultsch, Claudia; Caragiulo, Anthony; Dias-Freedman, Isabela; Quigley, Howard; Rabinowitz, Salisa; Amato, George (2016-10-26). Paiva, Samuel Rezende. ed. “Genetic Diversity and Population Structure of Mesoamerican Jaguars (Panthera onca): Implications for Conservation and Management”. PLOS ONE 11 (10). doi:10.1371/journal.pone.0162377. ISSN 1932-6203. PMC PMC5082669. PMID 27783617 .
- ^ ナショナルジオグラフィック日本公式サイト「ジャガー」解説より