腰巻
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腰巻(こしまき)
- 女性の下着の一種。昭和初期以前には現在のショーツの代わりとして広く着用されていた。湯文字(ゆもじ)。1932年の白木屋火事以降廃れたとされる。
- 織豊時代~江戸時代以前の高級武家女性の夏の正装。この項で詳述。
歴史
戦国時代、それまで高級武家夫人の正装であった袿が廃れた後、武家女性は威儀を正すためと防寒のために上から打掛を羽織るようになった。しかし夏場は非常に暑かったため、腰の位置で打掛を紐で結び、上半身は脱ぐようになった。これが腰巻のはじまりである。高野山の塔頭・持明院にある「お市の方肖像画」に書かれている物がこの時代の代表的な腰巻姿である。
江戸時代になると江戸幕府により大奥の女性の服装に規定が定められ、他大名家においてもこの慣例に倣うようになった。それによる「腰巻」とは、着用期間は旧暦5月5日~9月8日、地色は黒で、「提帯(さげおび)」という特殊な帯に袖を引っかけて着用することになっていた。
江戸時代末期になると特別の儀式の時のみ使われるようになり、明治時代以降は完全に廃れてしまった。
時代劇と腰巻
上記で書いたように「お市の方像」などで一度は目にした人が多い「腰巻」なのだが、何故か大河ドラマや時代劇ではこの格好が出てきたためしがない。黒澤明監督による「隠し砦の三悪人」で姫君の衣装と、2003年のドラマ大奥で和宮が花火を見るシーンで出たくらいである。