あした天気にしておくれ
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『あした天気にしておくれ』(あしたてんきにしておくれ)は、岡嶋二人による日本の長編推理小説。1983年に初刊行され、1986年に文庫本が発売された。
概要
[編集]第27回江戸川乱歩賞の最終候補に残った岡嶋二人の事実上の処女作。落選理由は、「メイントリックに前例があったこと」と「実行不可能であること」だと選考委員より告げられるが、「実行不可能」という指摘は選考委員の勘違いであると岡嶋氏は反論している。
翌年の1982年、「焦茶色のパステル」で第28回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。1983年、応募作に手を加えたものが刊行された。 1984年、第5回吉川英治文学新人賞候補となるも落選する。
ストーリー
[編集]北海道で、三億二千万のサラブレッド「セシア」が盗まれた。脅迫状が届き、「我々はセシアを誘拐した」で始まる文面は、身代金として二億円を要求してきていた。衆人環視のなかで、思いもかけぬ見事な方法で大金が奪われる。
登場人物
[編集]- 朝倉(あさくら)
- 主人公。鞍峰開発の財務管理部三課課長。元は競馬記者だったが鞍峰宗一郎に引き抜かれる。社内では「競馬課長」「競馬秘書」と揶揄されている。仕事ぶりは堅実で真面目。冷静で頭の切れる人物。
- 鞍峰 宗一郎(くらみね そういちろう)
- 鞍峰牧場のオーナーで鞍峰開発の社長。セシアの権利者の一人。貪欲。
- 望月 豊次(もちづき とよじ)
- 鞍峰牧場の牧場長。牧場の存続に固執している。
- 矢口(やぐち)
- 鞍峰牧場の牧夫。セシア骨折の原因を作った子供の父親。
- 東堂 篤頼(とうどう あつより)
- 建設会社の社長。セシアの権利者の一人。
- 岩佐 茂樹(いわさ しげき)
- スーパーのチェーン店を持っている。セシアの権利者の一人。
- 都賀 嘉章(つが よしあき)
- 銀座に画廊を持つ有名な美術商。セシアの権利者の一人。
- 篠塚 響子(しのづか きょうこ)
- 青山に宝石店を持つ女性馬主。青毛の馬を好む。
- 村瀬(むらせ)
- 茨城の美浦トレーディングセンターにある厩舎の調教師。
- 江見(えみ)
- 小幡厩舎に所属する若手騎手。「一発屋」と一部のファンからは呼ばれている。
- 室戸(むろと)
- 小幡厩舎に所属する主戦騎手。
- 寺井 礼子(てらい れいこ)
- 東堂篤頼の姪で秘書。
- 稲垣(いながき)
- 警部。セシア誘拐事件の指揮を執る。
- 南雲 文雄(なぐも ふみお)
- 南雲商事の社長で南雲牧場のオーナー。セシアの元の持ち主。
- 森脇 芳造(もりわき よしぞう)
- 話好きの小男。馬主。
- 朝倉 真智(あさくら まち)
- 朝倉の妻。フリーのディレクターで仕事が忙しく、夫とはすれ違いの生活を送っているが夫婦仲は悪くない。
- 中野(なかの)
- 尾行の下手な刑事。一見人が良さそうだが鋭い。
- 藤波(ふじなみ)
- 南雲文雄の右腕。