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かに座55番星c

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
かに座55番星c
惑星cによる主星の視線速度の変化
惑星cによる主星の視線速度の変化
星座 かに座
分類 太陽系外惑星
(木星型惑星?)
発見
発見年 2002年[1][注 1]
発見者 Geoffrey W. Marcy[1]
発見場所 カリフォルニア州
発見方法 ドップラー分光法[1]
現況 公表
軌道要素と性質
軌道長半径 (a) 0.240 ± 0.000045 au[2]
離心率 (e) 0.086 ± 0.052[2]
公転周期 (P) 44.3446 ± 0.0007日[2]
近点引数 (ω) 77.9 ± 29 °[2]
前回近点通過 JD 2449989.3385 ± 3.3[2]
準振幅 (K) 10.18 ± 0.43 m/s[2]
かに座55番星の惑星
位置
元期:J2000.0
赤経 (RA, α)  08h 52m 35.81s[3]
赤緯 (Dec, δ) +28° 19′ 50.9″[3]
距離 41光年
(12.6pc[3])
物理的性質
質量 > 0.169 ± 0.008 MJ[2]
他のカタログでの名称
Brahe, Copernicus c, かに座55番星Ac, かに座ρ1星, HD 75732 c, グリーゼ324A c, HIP 43587 c, HR 3522 c, SAO 80478 c, BD+28 1660 c, IRAS 08496+2831 c, LHS 2062 c, TYC 1949-02012-1 c, 2MASS J08523579+2819509 c, WDS J08526+2820 A c, WISE J085235.41+281948.5 c [3]
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かに座55番星c(英語: 55 Cancri c固有名:Brahe)は、太陽に似たかに座55番星の周囲の扁平な軌道を44.34日の周期で公転している太陽系外惑星である。惑星系では主星の内側から3番目にある惑星である。2002年に発見され、その下限質量は木星の質量の約6分の1である[2]

発見

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大部分の既知の太陽系外惑星と同様に、この惑星も主星の視線速度の変化の観測により検出された。これは、主星のスペクトルのドップラーシフトを注意深く観測することにより行われた。発見時、かに座55番星は既にかに座55番星bという惑星を持つことが知られていたが、それを考慮に入れても視線速度の変化を完全に説明することができていなかった[4]

2002年、さらなる観測により、恒星から約5天文単位の軌道を長い周期で公転する惑星の存在が明らかとなった。2つの惑星を考慮に入れても、約43日周期の変動が残った。しかし、この周期は主星自体の自転周期に近く、惑星ではなく主星の自転によるものと考えられた。43日周期の惑星(かに座55番星c)と5天文単位の距離にある惑星(かに座55番星d)は、主星からの距離の順番に名付けられ、同じ論文で発表された[1][注 1]

さらなる観測により、2004年に内側の惑星かに座55番星eが発見された[5]。11年間に渡る主星の光度測定の結果、かに座55番星の視線速度変化と同じ周期の活動は見られず、さらに周期は長い時間が経っても安定しており、これは恒星の活動が視線速度の変化の原因になっているという仮説と矛盾していた。

軌道と質量

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かに座55番星の5つの惑星系で、惑星cは若干扁平な軌道を公転する。遠点では、近点よりも約19%恒星から遠い位置にある。水星と太陽の距離よりも構成に近い位置にあるが、ホット・ジュピターよりも長い軌道周期を持つ。惑星cは、より内側にある惑星bと3:1の軌道共鳴に近い位置にあるが、シミュレーションにより2つの惑星は実際には共鳴していないことが示された[2]

視線速度法の限界は、質量の下限のみが得られることである。ハッブル宇宙望遠鏡による惑星dの観測により、この惑星が軌道平面から53°傾斜しているが[5]、より内側にある惑星bと惑星eは85°傾斜していることが示唆された。惑星cの軌道傾斜角は未知である。

性質

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この惑星は、主星の恒星の観測により間接的に発見されたため、半径、組成、温度等の性質はまだ分かっていない。質量が土星と同程度のため、この惑星は固体の表面を持たない巨大ガス惑星であると考えられている。

名称

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2015年に国際天文学連合によって太陽系外惑星系の名前の公募と投票が行われた際にかに座55番星系も対象となった。2015年12月15日、国際天文学連合より、オランダのアマチュア天文家団体連盟が提案した以下の名称が選定されたことが発表された[6]

脚注

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注釈

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  1. ^ a b NASA Exoplanet ArchiveなどのNASA関係のウェブサイトではこの惑星の発見年を2004年としている。The Extrasolar Planets Encyclopaediaでは天体が候補に上がった時点を発見年とするがNASA Exoplanet Archiveでは太陽系外惑星であると確定したとき初めて発見年となる。Marcy et al. 2002では恒星表面の不均一な模様が原因であるという説も提唱したため惑星の存在が確定したとは言えず、McArthur et al. 2004で恒星が活動的でないことを示したためこの論文が発見報告論文としている。なおウィキペディア日本語版では2002年とした。

出典

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  1. ^ a b c d Marcy, Geoffrey W. et al. (2002). “A Planet at 5 AU around 55 Cancri”. The Astrophysical Journal 581 (2): 1375–1388. arXiv:astro-ph/0207294. Bibcode2002ApJ...581.1375M. doi:10.1086/344298. ISSN 0004-637X. 
  2. ^ a b c d e f g h i Fischer, Debra A. et al. (2008). “Five Planets Orbiting 55 Cancri”. The Astrophysical Journal 675 (1): 790–801. arXiv:0712.3917. Bibcode2008ApJ...675..790F. doi:10.1086/525512. ISSN 0004-637X. 
  3. ^ a b c d 55 Cnc c”. NASA Exoplanet Archive. NASA Exoplanet Science Institute. 2020年11月4日閲覧。
  4. ^ Butler, R. Paul et al. (1997). “Three New “51 Pegasi–Type” Planets”. The Astrophysical Journal 474 (2): L115–L118. Bibcode1997ApJ...474L.115B. doi:10.1086/310444. ISSN 0004637X. 
  5. ^ a b McArthur, Barbara E. et al. (2004). “Detection of a Neptune-Mass Planet in the ρ1 Cancri System Using the Hobby-Eberly Telescope”. The Astrophysical Journal 614 (1): L81–L84. arXiv:astro-ph/0408585. Bibcode2004ApJ...614L..81M. doi:10.1086/425561. ISSN 0004-637X. 
  6. ^ NameExoWorld”. 国際天文学連合 (2015年12月15日). 2018年2月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月4日閲覧。

外部リンク

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座標: 星図 08h 52m 35.81s, +28° 19′ 50.9″