オシダ
オシダ | ||||||||||||||||||
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分類 | ||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||
Dryopteris crassirhizoma Nakai | ||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||
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和名 | ||||||||||||||||||
オシダ |
オシダ(学名:Dryopteris crassirhizoma)は、シダ植物門オシダ科のシダ植物。
概要
[編集]北海道、本州、四国の落葉樹林に広く分布する夏緑性のシダ[2]。四国、西日本では、比較的まれ[要出典]。主に山地帯や亜高山帯の林床に生育する[2]。低地では、空中湿度が高いスギ林に好出する[要出典]。
形態
[編集]根茎は太くて短く、直立しており、60から150センチメートルほどの大きな2回羽状複葉を漏斗状につける。鱗片は長卵形から線形で、光沢のある明褐色をしており、中軸や葉柄にも密につく。葉柄は短い。羽片は狭披針形で先がとがっており、裂片は狭長楕円形で先が丸くなっている。胞子嚢群は裂片の中脈の両側に並び、包膜は円腎形である。胞子は二面体型で、個体差はあるものの、9月から10月に熟し、胞子嚢が裂開する。
利用
[編集]園芸植物として利用され、王立園芸協会からガーデン・メリット賞を受賞した[3]。
また、薬用植物として利用されることもある。かつてはオシダの根茎を「綿馬根(めんまこん)」と呼び、生薬として用いたとされており、駆虫作用があったとされる。日本薬局方の初版にも、「綿馬」として記載がある[4]。ただし、当時から和名と種の対応に混乱があり、日本薬局方初版ではAspidium filix-masが綿馬であるとされているが、この学名は本種とは別種であるセイヨウオシダの学名のシノニムであり、今日でいうオシダと同種だったかどうかは定かでない。また、オシダの根茎は「貫衆」と呼ばれることもある[5]が、貫衆とはヤブソテツの中国名であり[6]、こちらも同様に今日でいうオシダが用いられていたかどうかは定かでない。
なお、2023年現在で現行の日本薬局方第18版の医薬品各条生薬には、「綿馬」も「貫衆」も記載されていない[7]。
オシダから単離されたアシルフロログルシノール(フラバスピジン酸類[8])はin vitroで抗菌作用と脂肪酸合成酵素阻害作用を示す[9]。また、別の含有成分であるsutchuenoside Aとケンペリトリンはin vivoで抗寄生虫活性を示す[10]。
雑種
[編集]オシダは、同じオシダ属の様々なシダと雑種を作ると推定されており、以下のような雑種がある。
- フジクマワラビ(D.×fujipedis Sa.Kurata) - クマワラビとの雑種[11]
- ネイチワラビ(D.×neichii Nakaike) - シラネワラビとの雑種[12]
- タニオシダ(D.×rokunohensis Nakaike) - タニヘゴとの雑種[13]
- ミヤマオシダ(D.×tohokuensis Nakaike) - ミヤマベニシダとの雑種[14]
- クマオシダ(D.×tokudae Sugim.) - ミヤマクマワラビとの雑種[15]
- フジオシダ(D.×watanabei Sa.Kurata) - オクマワラビとの雑種[16]
- イノウエシダ(D.×yasuhikoana Sa.Kurata) - オオクジャクシダとの雑種[17]
胞子が不稔性であれば、可能性がある。
脚注
[編集]- ^ “Dryopteris crassirhizoma Nakai”. 2023年5月1日閲覧。
- ^ a b “オシダ(おしだ)とは? 意味や使い方”. コトバンク. 2023年4月13日閲覧。
- ^ “Dryopteris crassirhizoma”. www.rhs.org. Royal Horticultural Society. 3 June 2020閲覧。
- ^ “収蔵品デジタルアーカイブ-初版日本薬局方(明治19年『官報』)”. 2023年4月13日閲覧。
- ^ “民族薬物データベース”. 2023年4月13日閲覧。
- ^ “ホウビカンジュ おすすめコンテンツ 植物図鑑 筑波実験植物園(つくば植物園)Tsukuba Botanical Garden”. 2023年4月13日閲覧。
- ^ “「日本薬局方」ホームページ 厚生労働省”. 2023年4月13日閲覧。
- ^ Lee, Hyang Burm; Kim, Jin Cheol; Lee, Sang Myung (2009). “Antibacterial activity of two phloroglucinols, flavaspidic acids AB and PB, from Dryopteris crassirhizoma”. Archives of Pharmacal Research 32 (5): 655–9. doi:10.1007/s12272-009-1502-9. PMC 7091015. PMID 19471878 .
- ^ Na, M; Jang, J; Min, BS; Lee, SJ; Lee, MS; Kim, BY; Oh, WK; Ahn, JS (2006). “Fatty acid synthase inhibitory activity of acylphloroglucinols isolated from Dryopteris crassirhizoma”. Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 16 (18): 4738–42. doi:10.1016/j.bmcl.2006.07.018. PMID 16870425.
- ^ Jiang, B; Chi, C; Fu, YW; Zhang, QZ; Wang, GX (2013). “In vivo anthelmintic effect of flavonol rhamnosides from Dryopteris crassirhizoma against Dactylogyrus intermedius in goldfish (Carassius auratus)”. Parasitology Research 112 (12): 4097–104. doi:10.1007/s00436-013-3600-3. PMID 24013342.
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “フジクマワラビ”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年4月13日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “ネイチワラビ”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年4月13日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “タニオシダ”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年4月13日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “ミヤマオシダ”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年4月13日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “クマオシダ”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年4月13日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “フジオシダ”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年4月13日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “イノウエシダ”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年4月13日閲覧。