ケニー・G
ケニー・G Kenny G | |
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ハリウッド・ウォーク・オブ・フェームのセレモニーにて(2013年) | |
基本情報 | |
出生名 | Kenneth Bruce Gorelick |
生誕 | 1956年6月5日(68歳) |
出身地 | アメリカ合衆国 ワシントン州シアトル |
ジャンル | スムーズ・ジャズ、フュージョン、AC |
職業 | ジャズサクソフォーン奏者・ソングライター・音楽プロデューサー |
担当楽器 | サクソフォーン、フルート |
活動期間 | 1973年 - |
レーベル |
アリスタ・レコード (1982年-2006年) コンコード・レコード (2008年-現在) |
公式サイト |
www |
ケニー・G(Kenny G、正式名 ケネス・ゴアリック - Kenneth Gorelick、1956年6月5日 - )は、アメリカ合衆国のジャズサクソフォーン奏者。
1980年代、スムーズジャズの第一人者として活躍し、特にアリスタ・レコード時代には大きなセールスを記録した。主にソプラノ・サクソフォーン奏者として知られるが、アルト・サクソフォーン、テナー・サクソフォーン、ウインドシンセサイザーなどを演奏することもある。
経歴
[編集]ワシントン州シアトルにてユダヤ系の家庭に生まれた。母親から与えられたサックスでグローヴァー・ワシントン・ジュニアのコピーなどから奏法を学ぶ。学生バンドを経て1973年に17歳でバリー・ホワイトのバックバンド「ラヴ・アンリミテッド・オーケストラ」に参加してプロ活動を開始[1]。ワシントン大学卒業後にはジェフ・ローバーの率いるジェフ・ローバー・フュージョンに加入し、2枚のアルバムに参加[1]。
1982年にアリスタ・レコードからケニー・G名義でソロ・デビュー。以降、多数のソロ・アルバムを発売すると共に、ホイットニー・ヒューストン、ナタリー・コール、マイケル・ボルトン、アレサ・フランクリンら多くの音楽家とのコラボレーションを行っている。
1987年に『デュオトーンズ』からシングルカットされた「ソングバード」がビルボードのポップチャートで4位を記録[2]。インストゥルメンタル曲としては異例の大ヒットとなる。1992年には『ブレスレス』が全米2位を記録し[2]、同アルバムに収録された「フォーエヴァー・イン・ラヴ」は1994年に第36回グラミー賞で最優秀インストゥルメンタル作曲賞を受賞[3]。
1997年、「最も長いロングトーンをするサックス奏者(45分47秒)」(→循環呼吸)として、また1999年には「累計アルバム売上枚数の最も多いジャズ・アーティスト」として、それぞれギネスブックにも掲載されている(ただし前者に関しては、コスタリカのサックス奏者ジョバンニ・エスカリエンテが、非公式ながら90分45秒の記録を持つとの主張もある)。
2008年、長年所属していたアリスタ・レコードを離れ、コンコード・レコードに移り、ラテン音楽を中心とした『ロマンスの足おと』を発表。2010年のアルバム『ハート・アンド・ソウル』は、ロビン・シックやベイビーフェイスといったゲスト・ボーカリストを迎えて制作された[1]。
批評
[編集]彼のヒットにより、彼に類似した音楽性(ポップス性)を持つアーティストが1990年代から多く出てきた。このようなことから彼はスムーズジャズを推進したアーティストといえるが、一方で彼の音楽性は『ジャズに非ず』というのがジャズやフュージョンの奏者からの批判である(そもそもフュージョンをジャズと分離して考える論者もいるが)。ジャズ史上最も著名なアーティストの一人ルイ・アームストロングの曲をオーバーダビングした曲を『クラシックス〜キー・オブ・ケニー・G』で発表したとき、パット・メセニーやリチャード・トンプソンはこれを厳しく批判した。このような批判と彼の功績ー功罪をもって、「別格」と彼を称する者も多い。
エピソード
[編集]TBSテレビで年始に放送されているバラエティ特番『さんま・玉緒のお年玉あんたの夢をかなえたろかスペシャル』で「ケニー・Gと一緒に演奏して、急性骨髄性白血病で亡くなった父親に聴かせてあげたい」といった依頼者の女子高生(当時高校2年生)の夢をかなえたことがある(「レーベルの契約上、一緒に演奏することはできないが、演奏を聴くことはできる」という条件の下で行われた)。依頼者が彼の前で演奏したのは彼の代表曲でもある「The Moment」(当初は依頼者の父親が生前好きだった石原裕次郎の『夜霧よ今夜も有難う』を演奏する予定だった)で、演奏中に最後のワンフレーズだけ依頼者とセッションした。お返しに依頼者とその家族(母親と妹)に向けて『夜霧よ今夜も有難う』を生演奏でプレゼントしている。その夢がかなった依頼者は現在、東京国際学園高等部の教員として活動している[4]。
ディスコグラフィ
[編集]スタジオ・アルバム
[編集]- 『シティ・ライツ』 - Kenny G (1982年、Arista)
- 『G・フォース』 - G Force (1984年、Arista)
- 『愛のめざめ』 - Gravity (1985年、Arista)
- 『デュオトーンズ』 - Duotones (1986年、Arista)
- 『シルエット』 - Shilhouette (1988年、Arista)
- 『ブレスレス』 - Breathless (1992年、Arista)
- 『ミラクルズ』 - Miracles: The Holiday Album (1994年、Arista)
- 『ザ・モーメント』 - The Moment (1996年、Arista)
- 『クラシックス〜キー・オブ・ケニー・G』 - Classics: in the Key of G (1999年、Arista)
- 『フェイス』 - Faith: A Holiday Album (1999年、Arista)
- 『パラダイス』 - Paradise (2002年、Arista)
- 『ウィッシズ』 - Wishes: A Holiday Album (2002年、Arista)
- 『デュエット』 - At Last... The Duets Album (2004年、Arista)
- 『ムード・フォー・ラヴ』 - I'm in the Mood for Love... The Most Romantic Melodies of All Time (2007年、Arista)
- 『ロマンスの足おと』 - Rhythm & Romance (2008年、Concord)
- 『ハート・アンド・ソウル』 - Heart & Soul (2010年、Concord)
- 『ナマステ』 - Namaste (2012年、Concord)
- 『ブラジリアン・ナイツ』 - Brazilian Nights (2015年、Concord)
ライブ・アルバム
[編集]- 『ケニー・G・ライヴ』(ゴーイング・ホーム) - Kenny G Live (1989年、Arista)
- An Evening of Rhythm & Romance (2009年、Eagle Rock)
コンピレーション・アルバム
[編集]- 『モンタージュ〜ケニー・G・グレイテスト・ヒッツ』 - Montage (1990年、Arista)
- 『グレイテスト・ヒッツ』 - Greatest Hits (1997年、Arista)
- Ultimete Kenny G (2003年、Arista)
- 『ウィンター・ワンダーランド〜ザ・グレイテスト・ホリデイ・クラシックス』 - The Greatest Holiday Classics (2005年、Arista)
- 『エッセンシャル・ケニー・G』 - The Essential Kenny G (2006年、Arista)
映像作品
[編集]- 『ケニー・G/ライブ』 - Kenny G Live (1990年、Arista)
- 『ロマンスの足おと〜Rhythm & Romance コンサート 2008』 - An Evening of Rhythm & Romance (2009年、Eagle Vision)
- 『ライヴ・アット・モントルー1987/1988』 - Live At Montreux 1987 / 1988 (2010年、Eagle Vision)
TV出演
[編集]脚注
[編集]- ^ a b c Yanow, Scott. “Kenny G - Biography & History”. AllMusic. 2015年11月30日閲覧。
- ^ a b Kenny G - Awards : AllMusic - 2012年11月23日閲覧
- ^ Heckman, Don (1994年3月2日). “The 36th Annual Grammy Awards : Jazz : Giants Living and Dead Cited”. Los Angeles Times. 2015年11月20日閲覧。
- ^ “井戸川 知裕先生”. 東京国際学園高等部. 2012年5月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年8月17日閲覧。(出演当時の様子を綴っている)