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ダウニング街11番地

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ダウニング街11番地
正面玄関
ダウニング街11番地の位置(シティ・オブ・ウェストミンスター内)
ダウニング街11番地
ウェストミンスターにおける位置
概要
建築様式 ジョージアン様式
自治体 ロンドンシティ・オブ・ウェストミンスターダウニング街
イギリスの旗 イギリス
入居者 リシ・スナック
着工 1682年 (342年前) (1682)
完成 1684年 (340年前) (1684)
設計・建設
建築家 クリストファー・レン
ウェブサイト
https://www.number10.gov.uk/
指定建築物 – 等級 I
登録コード1356989[1]
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ダウニング街11番地(ダウニングがいじゅういちばんち、: 11 Downing Street)は、イギリス財務大臣(慣例として第二大蔵卿を兼任)が居住する官邸の所在地であり、隣の10番地にある首相官邸とともに1682年に着工、1684年に竣工した。イギリスではナンバー11Number 11)と呼ばれることが多い。

ダウニング街11番地に入居した最初の財務大臣はヘンリー・ペティ=フィッツモーリス卿(在任:1806年 - 1807年、後の第3代ランズダウン侯爵)だったが、ダウニング街11番地が財務大臣の公式官邸になったのは1828年のことだった[2]

2016年以降の首相テリーザ・メイ(在任:2016年 - 2019年)とボリス・ジョンソン(在任:2019年 - 2022年)は11番地の居住スペースが10番地より大きいことを理由に10番地ではなく11番地に入居したが[3]、2022年に就任した首相リズ・トラスリシ・スナクは10番地に入居した[4][5]

地理

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ダウニング街西からの写真。左端の建物が外務・英連邦省。赤い建物(12番地)、黒い建物(11番地)、隣の建物(ダウニング街10番地)と続き、右端の建物は内閣府

ナンバー11は石炭、レンガ造りのジョージアン様式の建物であり、セント・ジェームズ・パークホース・ガーズ・パレードを見下ろせる位置にある。ダウニング街から見ると、左から順にナンバー12、11、10になっている。

ダウニング街10番地、2017年撮影。

ナンバー11の右側は19世紀初より首相(および第一大蔵卿)官邸として使用されている10番地(ナンバー10)であり、左側の12番地英語版(ナンバー12)は公式には与党院内幹事英語版の官邸であるが、2020年1月に首相報道官室(Prime Minister's Press Office)が庶民院から移転し、与党院内幹事の官邸は9番地英語版(ナンバー9)に移動された。9番地は枢密院司法委員会が、連合王国最高裁判所発足を控えた2009年8月にミドルセックス・ギルドホールに移転するまで入居し、2016年7月から2020年1月まで欧州連合離脱省が置かれていた。

これらの官邸は度重なる改築が行われ、現代では11番地の建物から(一旦ダウニング街に出ずに)10番地の建物に入ることができる。また、ホワイトホールにある内閣府庁舎の後ろともつながっている。

ナンバー11は初代準男爵サー・ジョージ・ダウニング英語版が1682年から1684年まで建設した建物の1つだった。その後、1723年頃から1735年頃まで改築され、1766年頃から1775年までケントン・コーズ英語版が外観を上塗りして、1825年から1826年にはサー・ジョン・ソーンによるダイニングルームの改装が行われた[1]。1960年から1964年まではレイモンド・エリス英語版による大規模改装が行われた[6]

なお、「11」は番地(地番)ではなく住居番号である(日本における「a丁目b番地c号」の「c号」に相当する)。よって、本来は「番地」のつかない「ダウニング街11」となる。

入居者

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財務大臣フィリップ・ハモンドとアメリカ財務長官ジェイコブ・ルーがダウニング街11番地の玄関前で握手する様子、2016年7月14日。

18世紀の時点では財務大臣との関連が薄く、ホイッグ党政権期の1724年から1731年にはトーリー党第4代オーラリー伯爵チャールズ・ボイルが入居しており、1797年から1805年までは庶民院議員ジョン・エリオット英語版(1804年にエリオット男爵位を継承、1815年にセント・ジャーマンズ伯爵に叙爵)が入居した[7]。その後、ヘンリー・ペティ=フィッツモーリス卿(1806年から1807年までの財務大臣)がナンバー11に入居した最初の財務大臣になるが[2]、後任のスペンサー・パーシヴァル(1807年から1812年までの財務大臣、1809年から1812年まで首相を兼任)は1807年にナンバー11に入居した後、同年にナンバー10に移り、以降1827年まで財務省秘書官英語版が相次いで入居した(具体的には1807年から1809年までウィリアム・ハスキソンが、1811年から1823年までチャールズ・アーバスノット英語版が、1824年から1827年までスティーブン・ラムボルド・ラッシントン英語版が入居した[7])。

1827年に財務大臣ジョン・チャールズ・ヘリーズ英語版が入居した後[7]、1828年にナンバー11が財務大臣の公式官邸に指定され[2]、以降1834年までヘンリー・ゴールバーン英語版オールトラップ子爵ジョン・スペンサーといった財務大臣が入居した[7]。その後の入居者は第6代準男爵サー・ジョージ・クラーク英語版財務省政務次官英語版、1835年入居)、エドワード・ジョン・スタンリー英語版(財務省政務次官、1837年入居)、トマス・スプリング・ライス英語版(財務大臣、1838年から1839年まで入居)、フランシス・ソーンヒル・ベアリング(財務大臣、1839年から1841年まで入居)、ヘンリー・ゴールバーン(財務大臣、1841年から1846年まで入居)、第3代準男爵サー・チャールズ・ウッド(財務大臣、1847年から1852年まで入居)だったが、ウッドの後任であるベンジャミン・ディズレーリはナンバー11に入居しなかった[7]。その後、ナンバー11に入居した次の財務大臣はウィリアム・ヴァーノン・ハーコート(1892年就任)であり、以降1931年までの大半の時期に財務大臣か、それ以外の閣僚が入居した(たとえば、1905年から1908年までは内務大臣ハーバート・グラッドストーンが、1924年の第1次マクドナルド内閣には王璽尚書ジョン・ロバート・クラインスが入居した[7])。

1997年に首相に就任したトニー・ブレアは妻と数人の子女と住んでいたため、ナンバー10ではなく居住スペースのより大きいナンバー11に入居した[8]。ブレア内閣の財務大臣ゴードン・ブラウンは1997年時点では未婚だったが、2007年にブラウンが首相に就任した時点では結婚しており、ナンバー11に入居した(のちナンバー10に移った)。

2010年イギリス総選挙の後、財務大臣に就任したジョージ・オズボーンがナンバー11に入居せず、ノッティング・ヒルの自宅に住んだため、首相に就任したデイヴィッド・キャメロンはナンバー11に入居した[9]。2011年8月初、オズボーンはナンバー10に入居した。

キャメロンの後任であるテリーザ・メイも就任時にナンバー11に入居しており[10]、メイの後任であるボリス・ジョンソンも同様にナンバー11に入居している[3]。一方で2022年に就任したリズ・トラスリシ・スナクはナンバー10に入居した[4][5]

脚注

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出典

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  1. ^ a b Historic England (14 January 1970). "11, DOWNING STREET SW1 (Grade I) (1356989)". National Heritage List for England (英語). 2020年8月12日閲覧
  2. ^ a b c "History of Number 11 Downing Street" (英語). UK Government. 2020年8月12日閲覧
  3. ^ a b Buchan, Lizzy (29 July 2019). "Boris Johnson and girlfriend take bigger Downing Street flat, leaving smaller one for Javid family". The Independent (英語). 2020年8月12日閲覧
  4. ^ a b Browning, Oliver (26 October 2022). "Moving van parked outside Downing Street as Liz Truss departs No 10". The Independent (英語). 2023年12月3日閲覧
  5. ^ a b "Living in Downing Street: Rishi Sunak and family move back in". BBC News (英語). 26 October 2022. 2023年12月3日閲覧
  6. ^ The Architect and Building News, 25 December 1963
  7. ^ a b c d e f Cox, Montagu H; Forrest, G Topham, eds. (1931). "No. 11, Downing Street". Survey of London (英語). Vol. 14. London. pp. 142–153.
  8. ^ "10 Downing Street Today" (英語). 2007年6月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年8月12日閲覧
  9. ^ "George Osborne spurns Downing Street to remain a Notting Hill Tory". The Daily Telegraph (英語). 26 June 2010. 2020年8月12日閲覧
  10. ^ "BBC Radio 4 – Gardeners' Question Time – 10 Surprising facts about Number 10 Downing Street". BBC (英語). 2020年8月12日閲覧