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ピセン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ピセン[1]
Ball-and-stick model of the picene molecule ball{{{画像alt1}}}
識別情報
CAS登録番号 213-46-7 チェック
PubChem 9162
ChemSpider 8808 チェック
UNII F70R8ZBR7T チェック
KEGG C19500 チェック
ChEBI
バイルシュタイン 1912414
特性
化学式 C22H14
モル質量 278.33 g/mol
密度 ? g/cm3
融点

366 ~ 367℃

沸点

518 ~ 520℃

危険性
GHSピクトグラム 経口・吸飲による有害性
GHSシグナルワード 警告(WARNING)
Hフレーズ H371
Pフレーズ P260, P264, P270, P309+311, P405, P501
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

ピセン (picene) とは、多環芳香族炭化水素の一種で、泥炭原油を蒸留したときに出る残滓(ピッチ)の中に存在する。シメンを溶媒として繰り返し再結晶させて得る。

再結晶させたピセンは、青みがかった蛍光を示す無色の大きな板状結晶である。濃硫酸に溶かすと緑色を呈する。

ピセンを合成的に得るためには、ナフタレン1,2-ジブロモエタン塩化アルミニウムを作用させる方法、α-ジナフトスチルベンを熱反応にかける方法、コール酸から脱水素する方法などが知られる。

酢酸中でピセンにクロム酸酸化を施すと、キノンカルボン酸を経て、最後は縮合環構造が分解したフタル酸に変わる。

イドリア石(Idrialite)というピセンを主成分にした鉱物がある。

2009年岡山大学理学部の久保園芳博教授のグループにより、ピセンの結晶にカリウムルビジウムドープさせることにより20K超伝導になることが発見された[1]。20Kという温度は、超伝導となる有機化合物としては2010年現在で最も高い[2]。このため、将来の応用が期待されている。一方で発見されて以来、国内外で追試の成功例は無く、近年超伝導は存在しないとする報告がなされた[:en]。化学・物理の領域を問わず国内外から疑義が高まっている。

参考文献

[編集]
  1. ^ Merck Index, 11th Edition, 7368.
  2. ^ Nomenclature of Organic Chemistry : IUPAC Recommendations and Preferred Names 2013 (Blue Book). Cambridge: The Royal Society of Chemistry. (2014). p. 206. doi:10.1039/9781849733069-FP001. ISBN 978-0-85404-182-4