下山保男
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下山 保男(しもやま やすお、1947年〈昭和22年〉6月6日 - )は、日本の元裁判官[1]。
異動履歴
[編集]- 1974年(昭和49年)4月12日 - 1977年(昭和52年)3月31日:浦和地方裁判所判事補[1]
- 1977年4月1日 - 1977年4月11日:大阪地方裁判所判事補[1]
- 1977年4月12日 - 1980年(昭和55年)3月31日:大阪地裁判事補、大阪簡易裁判所判事[1]
- 1980年4月1日 - 1983年(昭和58年)3月31日:千葉地方裁判所・千葉簡易裁判所佐倉支部判事補、佐倉簡易裁判所判事[1]
- 1983年4月1日 - 1984年(昭和59年)4月11日:京都地方裁判所判事補、京都簡易裁判所判事[1]
- 1984年4月12日 - 1986年(昭和61年)3月31日:京都地裁判事、京都簡裁判事[1]
- 1986年4月1日 - 1989年(平成元年)3月31日:秋田地方裁判所・秋田簡易裁判所大館支部長、同能代支部判事、大館簡易裁判所判事[1]
- 1989年4月1日 - 1992年(平成4年)3月31日:東京家庭裁判所判事、東京簡易裁判所判事[1]
- 1992年4月1日 - 1992年4月10日:富山地方裁判所・富山家庭裁判所判事、富山簡易裁判所判事[1]
- 1992年4月11日 - 1996年(平成8年)3月31日:富山地裁・家裁部総括判事、富山簡裁判事[1]
- 1996年4月1日 - 2000年(平成12年)3月31日:東京高等裁判所判事[1]
- 2000年4月1日 - 2004年(平成16年)3月31日:千葉地裁部総括判事[1]
- 2004年4月1日 - 2006年(平成18年)10月15日:さいたま地方裁判所・さいたま家庭裁判所部総括判事[1]
- 2006年10月16日 - 2007年(平成19年)2月6日:さいたま地・家裁部総括判事、さいたま簡易裁判所判事[1]
- 2007年2月7日 - 2008年(平成29年)3月30日:高松家庭裁判所所長[1]
- 2008年3月31日 - 2009年(平成21年)5月21日:津地方裁判所・津家庭裁判所所長、津簡易裁判所[1]
- 2009年5月22日 - 2012年(平成24年)6月4日:名古屋高等裁判所部総括判事[1]
- 2012年6月5日:定年退官[1]
主な担当審理
[編集]- 1992年11月:富山地裁の裁判長として、富山・長野連続女性誘拐殺人事件で無罪判決を受けた元被告人の男性に対し、刑事補償として請求全額(27,006,200円)を支払うよう国に命じる決定を出した[2]。
- 1993年7月15日:富山地裁の裁判長として、1991年5月7日に富山県富山市で発生した社長夫婦射殺事件の第一審判決公判を担当。主犯格とされた被告人の男に死刑、従犯とされた被告人の男に無期懲役(いずれも求刑通り)の判決を言い渡した[3]。富山地裁における死刑判決は、1988年に富山・長野連続女性誘拐殺人事件の女性死刑囚(1998年に死刑確定)に対し言い渡されて以来で[4]、主犯格は2001年に最高裁で死刑が確定、従犯もそれまでに無期懲役が確定している[5]。
- 2000年2月28日:東京高裁第3刑事部の右陪席裁判官(裁判長は仁田陸郎、左陪席裁判官は角田正紀)として、JT女性社員逆恨み殺人事件の控訴審判決を担当[6]。無期懲役とした原判決(東京地裁:1999年5月27日)を破棄自判し、被告人に検察官の求刑通り死刑を言い渡した[7]。その後、同事件は2004年に最高裁で被告人の死刑が確定している[8]。
- 2011年4月12日:名古屋高裁刑事第2部の裁判長として、闇サイト殺人事件の控訴審判決を担当[9]。第一審(名古屋地裁:2009年3月18日)で求刑通り死刑を言い渡されていた被告人の堀慶末(被告人側のみ控訴)と、無期懲役(求刑:死刑)を言い渡されていた被告人「山下」(検察官・被告人側の双方が控訴)に対する判決を言い渡した[10]。
- 堀については、犯行の計画・実行行為に関して、既に死刑が確定していた共犯者(控訴取り下げ)と役割に差があることや、交通事犯の罰金前科以外に前科がなかったことから「矯正の余地がある」と判断し、「殺害された被害者が1名である本件では、死刑の選択がやむを得ないと言えるほどほかの量刑要素が悪質とは断じ難く、死刑に処すことにはなお躊躇を覚えざるを得ない」として、原判決を破棄自判し、無期懲役を言い渡した[9]。また、「山下」については双方の控訴を棄却した[9]。
- 検察官は堀について、量刑を不服として最高裁へ上告したが、2012年7月11日に最高裁第二小法廷(千葉勝美裁判長)が上告棄却の決定を出したため、堀は無期懲役が確定した[11]。しかし、堀は同年8月以降、碧南市パチンコ店長夫婦殺害事件(1998年発生)などへの関与が判明し、それらの事件の刑事裁判の結果、2019年8月に最高裁で死刑が確定している[12]。
- 2012年5月25日:名古屋高裁の裁判長として、名張毒ぶどう酒事件第7次再審請求差し戻し審決定を担当。
脚注
[編集]- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s “裁判官検索:下山保男”. 法律情報サイト e-hoki(新日本法規出版株式会社). 2018年1月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年1月29日閲覧。
- ^ 『中日新聞』1992年11月19日夕刊第一社会面11頁「連続誘拐殺人 無罪確定の北野さんに 刑事補償2700万円」(中日新聞社)
- ^ 『北日本新聞』1993年7月16日朝刊一面1頁「社長夫妻射殺事件 S被告に死刑判決 富山地裁 ××被告は無期懲役」(北日本新聞社)
- ^ 『北日本新聞』1993年7月16日朝刊第一社会面27頁「社長夫妻射殺事件 うなずくS被告 県内5年ぶり死刑判決」(北日本新聞社)
- ^ 『北日本新聞』2001年1月31日朝刊第一社会面27頁「富山・社長夫妻射殺 S被告死刑確定へ 最高裁 上告棄却 「計画的、強固な殺意」」(北日本新聞社)
- ^ 判例タイムズ 2000, p. 284.
- ^ 『読売新聞』2000年2月28日東京夕刊第一社会面19頁「被害者の女性を逆恨み殺人 無期破棄し死刑判決 被害者1人でも極刑/東京地裁」(読売新聞東京本社)
- ^ 『読売新聞』2004年10月14日東京朝刊第一社会面39頁「被害届女性逆恨み殺人 最高裁も死刑 上告を棄却 被害者1人でも」(読売新聞東京本社)
- ^ a b c 名古屋高裁 2011.
- ^ 『中日新聞』2011年4月13日朝刊一面1頁「闇サイト殺人 2被告に無期懲役 名高裁判決 堀被告死刑破棄 「模倣性高いといえず」」(中日新聞社)
- ^ 『中日新聞』2012年7月14日朝刊第一社会面31頁「闇サイト殺人 堀被告無期確定へ 最高裁 「関与に差」高裁支持」(中日新聞社)
- ^ 『中日新聞』2019年8月10日朝刊第14版第三社会面27頁「碧南夫婦強殺で死刑確定 最高裁 闇サイト事件の堀被告」(中日新聞社)
- ^ 「名張毒ぶどう酒事件、再審認めず 差し戻し審 名古屋高裁「新証拠、価値ない」」『日本経済新聞』日本経済新聞社、2012年5月25日。オリジナルの2018年1月29日時点におけるアーカイブ。2018年1月29日閲覧。
- ^ “名張毒ぶどう酒事件第7次再審請求差戻し異議審決定についての会長声明”. 日本弁護士連合会(日弁連、会長:山岸憲司) (2012年5月25日). 2018年1月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年1月29日閲覧。
参考文献
[編集]- JT女性社員逆恨み殺人事件の控訴審判決 - 東京高等裁判所第3刑事部判決 2000年(平成12年)2月28日 、平成11年(う)第1202号、『殺人、窃盗被告事件』「7年前の強姦致傷等の被害者が警察に通報したことを逆恨みして報復殺人を行った被告人に対し、原審での無期懲役(求刑・死刑)の判決を破棄し、死刑を言い渡した事例(高等裁判所刑事裁判速報集)」。
- 判決主文:原判決を破棄する。被告人を死刑に処する。押収してある包丁1丁(東京高等裁判所平成11年押第314号の1)を没収する。
- 裁判官:仁田陸郎(裁判長)・下山保男・角田正紀
- 検察官・弁護人
- 検察官:齊田國太郎(控訴趣意書を作成)
- 弁護人:石川弘(検察官の控訴趣意書に対する答弁書を作成)
- 「強姦致傷等の被害者が警察へ申告したため逮捕されたことを恨んで、その出所後同女を殺害するなどした事案につき、無期懲役に処した一審判決を破棄して、死刑を言い渡した事例〔東京高裁平一一(う)一二〇二号、殺人、窃盗被告事件、平12・2・28第三刑事部判決、破棄自判・上告、原審東京地裁平九合(わ)一三三号、平11・5・27判決〕」『判例タイムズ』第51巻第14号、判例タイムズ社、2000年6月15日、284-289頁。 - 通巻:第1027号。
- 闇サイト殺人事件の控訴審判決 - 名古屋高等裁判所刑事第2部判決 2011年(平成23年)4月12日 『TKCローライブラリー』(LEX/DBインターネット) 文献番号:25670946、平成21年(う)第219号、『営利略取、逮捕監禁、強盗殺人、死体遺棄、窃盗未遂、強盗強姦未遂、建造物侵入各被告事件』、“インターネットの掲示板を利用して集まった被告人らが、帰宅途中の被害女性を自動車内に押し込んで逮捕監禁し、暴行を加えて現金及びキャッシュカードを強取し、脅迫してキャッシュカードの暗証番号を聞き出した後、同女を殺害してその死体を遺棄するなどした営利略取、逮捕監禁、強盗殺人、強盗強姦未遂の事案において、殺害された被害者が1名である本件において、死刑の選択がやむを得ないと言えるほど他の量刑要素が悪質であるとは断じがたいことなどから、被告人A(堀慶末)を死刑に処した原判決の量刑は重過ぎて不当であり、他方で、被告人B(「山下」)を無期懲役に処した原判決の量刑は結論において相当であるとして、原判決中、被告人Aに関する部分を破棄し、被告人Aを無期懲役に処した事例。 (TKC)”。