中宇利石
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中宇利石(なかうりせき、 Nakauriite)は、1976年に発表された日本産新鉱物で、愛知教育大学の鉱物学者鈴木重人などにより、愛知県新城市の中宇利鉱山で発見された[1]。 化学組成は(Mn,Ni,Cu)8(SO4)4(CO3)(OH)6・48H2Oとされており、斜方晶系。発見地の鉱山名から命名された。
蛇紋岩中に空色の針状結晶として産出する。このため、鈴木は当初「Namaqualith(現在の炭酸青針銅鉱)様鉱物」として報告した[2]。
発見者の鈴木は、本鉱物研究の業績により櫻井記念会から櫻井賞を受賞した。
ただし、鈴木は不純物を多く含む中宇利石をXRFで分析し、チャートからクリソタイルに含まれる元素を減算して組成式を導き出した。その結果として硫酸塩を多く含み、マグネシウムを含まない上記の化学組成は長く疑問視されており[3]、2007年に(Mg,Cu)x(CO3)y(OH)z・nH2O(x,y,zの数値は未解明)という組成が提唱された[4]。2019年には鈴木のIRスペクトルが再検討され、硫酸塩は含まれないことが確認されて新たに(Mg3Cu2+)(OH)6(CO3)・4H2Oという組成が提唱された[5]。
また、結晶構造など未解明な点が多い(粉末のX線回折パターンにより同定は可能である)。
脚注
[編集]- ^ Suzuki, J. et al. (1976): A new copper sulfate-carbonate hydroxide hydrate mineral, (Mn,Ni,Cu)8(SO4)4(CO3)(OH)6・48H2O, from Nakauri, Aichi Prefecture, Japan. Jour. Japan. Assoc. Mineral. Petrol. Econ. Geol., 71, 183-192.
- ^ 伊藤正裕, 鈴木重人, 杉浦孜(1975)愛知県中宇利産Namaqualith様鉱物について. 岩石鉱物鉱床学会誌, 70, 139.
- ^ 松原聰・宮脇律郎『日本産鉱物型録』、86~87頁、東海大学出版会、2006年。
- ^ Palenzona A., Martinelli, A. (2007) La nakauriite del Monte Ramazzo, Genova. Rivista Mineralogica Italiana, 31, 48-51.
- ^ Chukanov and Vigasina (2019) Some Examples of the Use of IR Spectroscopy in Mineralogical Studies In Vibrational (Infrared and Raman) Spectra of Minerals and Related Compounds, 1-17.
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- Nakauriite - Mindat
- 中宇利石, ナカウリアイト
- 中宇利石 - 東京大学物性研究所・浜根大輔