数学において、指数積分(しすうせきぶん、英: exponential integral)Ei は指数関数を含む積分によって定義される特殊関数の一つである。
実数 x≠0 に対し指数積分 Ei(x) は次のように定義される。
ただし p.v. はコーシーの主値を表す。この関数は初等関数でないことがリッシュのアルゴリズムによって示されている。
以下、本稿ではこれを Eireal(x) で表す。
複素数 z に対し指数積分 Ei(z) は次のように定義される。
これは多価関数であるが、本稿では負の実軸で分枝切断を行い正の実軸上で実数値をとるようにする。[1][2](文献によっては定義が異なる)
複素関数 Ein(z) を次のように定める。
これは複素平面全体で正則となり、
が成り立つ。ただしγはオイラーの定数である。これにより E1, Ei は
と表され、多価性にまつわる問題を複素対数関数 log z に封じ込めることができる。
Ein(z) のテイラー展開は次のように与えられる。
これは複素平面全体で収束する。また次のような展開も可能である。
z の絶対値が十分大きいとき E1 は次のように近似できる。
右辺は n→∞ で発散するので適当な項数で打ち切って使用する。
指数積分は以下のように一般化できる。
これを n 次の指数積分と呼び、以下のように不完全ガンマ関数を用いて以下のように表せる。
また、以下の式を Ei(z) と記すこともある。
このときは次のように分枝をとる。
両者は次のような関係で結ばれる。
指数積分は以下のような近似を持つ。
ただし
正弦積分 (sine integral) は正弦関数を含む積分によって定義される関数である。被積分関数は非正規化sinc関数という。
余弦積分 (cosine integral) は余弦関数を含む積分によって定義される関数である。
複素関数としての余弦積分は多価であるが、次のように複素対数関数と正則関数の和で表すことができる。
任意の複素数 z に対して次の関係が成り立つ。
対数積分 (logarithmic integal) は対数関数の逆数の積分によって定義される関数である。詳しくは対数積分を参照。
ただし p.v. はコーシーの主値を表す。対数積分は素数の分布を表す公式(素数定理)に現れる。