盛田隆二
盛田 隆二(もりた りゅうじ、1954年12月23日 - )は、日本の作家。2007年度-2009年度、早稲田大学文学学術院客員教授。第一文学部・第二文学部・文化構想学部の講義を担当。2010年度より、淑徳大学エクステンションセンターにて「小説の書き方講座」を開講。
経歴
[編集]東京都目黒区出身。埼玉県立川越高等学校在学中に書いた短編「糠星」が旺文社小説コンクールで1等になり、「高二時代」1971年12月号に掲載される。同作品は短編集『あなたのことが、いちばんだいじ』に所収。明治大学政治経済学部政治学科卒。1975年から1977年まで、日本文学学校に学んだ[1]。1978年、ぴあ株式会社に入社。情報誌「ぴあ」編集者の傍ら小説を執筆し、1985年「夜よりも長い夢」で第2回早稲田文学新人賞佳作入選。1990年のデビュー作『ストリート・チルドレン』が第12回野間文芸新人賞候補作に、1992年の第2作『サウダージ』は第5回三島由紀夫賞候補作となった。吉田拓郎の大ファンで、拓郎が出演した映画『幕末青春グラフィティ Ronin 坂本竜馬』(1986年公開)と連動した『THE BOOK OF Ronin』(ぴあムック・1986年刊)を企画し出版した[2]。
「ぴあ」副編集長、「ぴあムック」編集長等を経て、18年間勤務した同社を1996年に退社、作家専業となる。2004年に刊行された『夜の果てまで』(角川文庫)は30万部売れた。2011年、『二人静』(光文社)で第1回Twitter文学賞(国内編第1位)を受賞。
また、1997年から2000年(第14回から第17回)、早稲田文学新人賞選考委員。2004年から2009年、「きらら」携帯メール小説大賞選考委員。2012年度より、川越市主催「高校生小説大賞〜糠星の輝き〜」選考委員長。2005年度より、明治大学の広報誌『明治』編集委員。
2016年の参院選で日本共産党候補について、Twitterで作家の中沢けいと共に、「私も熱烈応援」と投稿している[3]。2022年6月に日本共産党支持者であると公表[4]。
著書
[編集]単著
[編集]- 『ストリート・チルドレン』 1990年 講談社 / 2003年 新風舎文庫(巻末書評資料:吉本隆明・柄谷行人・岡田幸四郎・小笠原賢二他)/ 2009年 光文社文庫(解説:中川五郎)
- 『サウダージ』 1992年 中央公論社 / 2004年 角川文庫(解説:北上次郎)
- 『ラスト・ワルツ』 1993年 新潮社 / 2005年 角川文庫(解説:池上冬樹)
- 『金曜日にきみは行かない』 1994年 朝日新聞社 / 2006年 角川文庫(解説:柴田元幸)
- 『いつかぼくは一冊の本を書く』 1996年 フレーベル館
- 『ニッポンの狩猟期2008』 1997年 集英社 / 2005年 角川文庫(『ニッポンの狩猟期』に改題/解説:川本三郎)
- 『湾岸ラプソディ』 1999年 角川書店 / 2004年 角川文庫(『夜の果てまで』に改題/解説:佐藤正午)/ 2008年 麥田出版(台湾版『夜的盡頭』/翻訳:黄心寧)
- 『リセット』 2000年 角川春樹事務所 / 2005年 ハルキ文庫(解説:重松清)
- 『おいしい水』 2002年 光文社 / 2005年 光文社文庫(解説:谷村志穂)
- 『散る。アウト』 2004年 毎日新聞社 / 2009年 光文社文庫(解説:枡野浩一)
- 『あなたのことが、いちばんだいじ』 2005年 作品社 / 2010年 光文社文庫
- 『Fruits of Shinjuku ― 新宿の果実』 2006年 IBC Publishing (洋販ラダーシリーズ・英語版/翻訳:Giles Murray)
- 『ありふれた魔法』 2006年 光文社 / 2008年 光文社文庫(解説:大崎善生)
- 『幸福日和』 2007年 角川書店 / 2011年 角川文庫(『ささやかな永遠のはじまり』に改題/解説:瀧井朝世)
- 『二人静』 2010年 光文社 / 2012年 光文社文庫(解説:よしもとばなな)
- 『身も心も』(テーマ競作小説「死様」) 2011年 光文社 / 2014年 光文社文庫(解説:中江有里)
- 『きみがつらいのは、まだあきらめていないから』 2011年 角川文庫(文庫オリジナル/解説:中江有里)
- 『Les fruits de Shinjuku ― 新宿の果実』 2012年 Philippe Picquier (グラフィックノベル・仏語版/イラスト:Amandine Grandcolas/翻訳:Corinne Quentin)
- 『いつの日も泉は湧いている』 2013年 日本経済新聞出版社 / 2016年 小学館文庫(解説:川本三郎)
- 『残りの人生で、今日がいちばん若い日』 2015年 祥伝社 / 2018年 祥伝社文庫(解説:北上次郎)
- 『父よ、ロング・グッドバイ 男の介護日誌』 2016年 双葉社 / 2017年 韓国語版『아버지롱굿바이』(刊行:생각의힘) / 2018年 台湾版『與父親的漫長告別 一名男子的照護手記』(刊行:時報出版) / 2022年 中国版『父亲 一个儿子的陪护日记』(刊行:上海三联书店・北京鳳凰壹力文化発展有限公司)
- 『蜜と唾』 2016年 光文社 / 2019年 光文社文庫(解説:鶴谷真)
- 『焼け跡のハイヒール』 2017年 祥伝社 / 2020年 祥伝社文庫(解説:池田香代子)
共著・アンソロジー
[編集]- 『東京小説』(椎名誠、林真理子、藤野千夜、村松友視、盛田隆二) 2000年 紀伊國屋書店(日本語版) / 2000年 autrement(仏語版/翻訳:Corinne Quentin) / 2003年 角川文庫(日本語版) / 2004年 IBC Publishing(英語版/翻訳:Giles Murray) / 2006年 Philippe Picquier(仏語文庫版) / 2013年 日経文芸文庫(日本語版)
- 『New History 街の物語』(小川洋子、柴門ふみ、原田宗典、盛田隆二) 2001年 角川書店
- 『本はこころのともだち』(城山三郎、高樹のぶ子ほか) 2005年 メディアパル
- 『多文化と自文化 ― 国際コミュニケーションの時代』(荒木和博、中田宏ほか) 2005年 森話社
- 『クリスマス・ストーリーズ』(大崎善生、奥田英朗、角田光代、島本理生、蓮見圭一、盛田隆二) 2005年 角川書店 / 2009年 角川文庫(『聖なる夜に君は』に改題)
- 『パリよ、こんにちは』(林真理子、椎名誠、盛田隆二、松本侑子、狗飼恭子、唯川恵) 2005年 角川書店
- 『携帯メール小説』(佐藤正午、盛田隆二) 2006年 小学館
- 『作家の手紙』(小池真理子、蜂飼耳ほか) 2007年 角川書店 / 2010年 角川文庫
- 『森山大道とその時代』(荒木経惟、東松照明ほか) 2007年 青弓社
- 『日曜日の随想 2007』(梅原猛、平岩弓枝ほか) 2008年 日本経済新聞出版社
- 『日曜日の随想 2009』(永井路子、ねじめ正一ほか) 2010年 日本経済新聞出版社
- 『ベスト・エッセイ 2010 この星の時間』(高田宏、川上弘美ほか) 2010年 光村図書出版
- 『そういうものだろ、仕事っていうのは』(重松清、野中柊、石田衣良、大崎善生、盛田隆二、津村記久子) 2011年 日本経済新聞出版社
- 『随想 2011』(古井由吉、片岡義男ほか) 2012年 日本経済新聞出版社
- 日本ペンクラブ編『憲法についていま私が考えること』(赤川次郎、浅田次郎、中西進ほか) 2018年 角川書店
- 佐藤正午『書くインタビュー 4』(ゲスト 盛田隆二) 2021年 小学館文庫
編著作
[編集]文庫解説
[編集]- 佐藤正午『夏の情婦』 1993年 集英社文庫
- アーヴィン・ウェルシュ『エクスタシー』 1999年 角川文庫
- 柴田元幸『愛の見切り発車』 2000年 新潮文庫
- クリスティ・ジョンソンほか『アイ・アム・サム』 2002年 竹書房文庫
- 大崎善生『孤独か、それに等しいもの』 2006年 角川文庫
- 大矢ちき『おじゃまさんリュリュ』 2007年 小学館文庫
- 蓮見圭一『誰の中にでもいる彼』 2008年 角川文庫
- 岡部えつ『新宿遊女奇譚』 2011年 MF文庫ダ・ヴィンチ
- 日本SF作家クラブ『たそがれゆく未来:巨匠たちの想像力[文明崩壊]』 2016年 ちくま文庫
- 長薗安浩『祝福』 2017年 小学館文庫
- 石田衣良『不死鳥少年 アンディ・タケシの東京大空襲』 2022年 毎日文庫
評論・対談
[編集]出演
[編集]- NHK BS1 - 2022年11月26日午後11時~11時50分放送「声は届くのか〜秘蔵フィルムが映し出す 1969新宿西口地下広場〜」出演:吉岡忍・大木晴子・盛田隆二ほか 1969年のフォークゲリラを現在の視点から描いた同番組は 第60回ギャラクシー賞 テレビ番組部門で入選した
- NHK-Eテレ「ハートネットTV」 - 2016年8月24日午後8時〜8時29分放送(8月31日午後1時5分〜1時34分再放送)「父との長いお別れ・作家 盛田隆二 ――リハビリ・介護を生きる 認知症の親をおくって」
- デモクラシータイムス(YouTube、不定期)
掲載
[編集]- 日本経済新聞 - ファミリーヒストリー 作家 盛田隆二 |「焼け跡のハイヒール」(祥伝社文庫)
- 週刊読書人 - 鎮魂の家族史|盛田隆二著「焼け跡のハイヒール」(祥伝社) 評者:森川雅美
- 夕刊フジ - 東京舞台さんぽ|切なく危険な香り…盛田隆二さんの短編「新宿の果実」 現代文学アンソロジー「東京小説」の書き下ろし作
- 通販生活 - 【わたしの介護/盛田隆二さん<前編>】元気なうちに延命治療について希望を聞いておくべきです
- 通販生活 - 【わたしの介護/盛田隆二さん<後編>】元気なうちに延命治療について希望を聞いておくべきです
- 読売新聞 - ケアノート[盛田隆二さん]命慈しむ気持ち強く 『父よ、ロング・グッドバイ 男の介護日誌』著者インタビュー
- 週刊ポスト - 盛田隆二著『父よ、ロング・グッドバイ 男の介護日誌』書評 無趣味で亭主関白だった国家公務員の父が認知症に 評者:関川夏央
- 介護ポストセブン - 【『父よ、ロング・グッドバイ 男の介護日誌』著者インタビュー/盛田隆二さん<前編>】最後に過ごした父親との濃密な時間
- 介護ポストセブン - 【『父よ、ロング・グッドバイ 男の介護日誌』著者インタビュー/盛田隆二さん<後編>】介護うつを経て知った脈々と続く命のリレー
- ダ・ヴィンチ - 息子が認知症の父親を介護しつづけた10年の記録 : 著者インタビュー/盛田隆二『父よ、ロング・グッドバイ 男の介護日誌』
- しんぶん赤旗 - 私と介護 : 自身の介護体験書いた『父よ、ロング・グッドバイ』 盛田隆二さん 仕事も重なってうつ病発症 歯車一つ外したらふっと楽に
- デモクラシータイムス×マガジン9共同企画 - 座談会「『新潮45』と雑誌ジャーナリズムの危機」斎藤貴男さん×盛田隆二さん×鈴木耕さん
- 毎日新聞 - 今週の本棚・本と人:『蜜と唾』著者・盛田隆二さん
- 毎日新聞 - 青春小説の系譜:「世界を変えたい」反戦高校生が生きた半世紀の重さ 盛田隆二『いつの日も泉は湧いている』
- 東京新聞 - ウェイバックマシン(2013年12月14日アーカイブ分) - 時代とらえて物語に 高校紛争を43年ぶりに描く 盛田隆二さん『いつの日も泉は湧いている』
- 日本経済新聞 - 高校紛争から40年、その意味をいま問い直す 盛田隆二さん連載小説『いつの日も泉は湧いている』を語る
- ダ・ヴィンチ - 死様をテーマにした競作小説シリーズ登場! 著者インタビュー/盛田隆二さん『身も心も』
- 朝日新聞 - 盛田隆二著『二人静』書評 現代社会の不幸、救い込めて描く 評者:江上剛
- 日本経済新聞 - 希望の道すじをさぐる物語 盛田隆二さん新刊の『二人静』を語る
- きらら - 場面緘黙症の娘を育てるシングルマザーの物語 盛田隆二さん『二人静』を語る
- エキサイトニュース - あなたが選ぶ「Twitter文学賞 ツイートで選ぶ2010年ホントに面白かった小説」 国内第1位 盛田隆二『二人静』(光文社)
- 第1回Twitter文学賞投票結果 - 第1位 盛田隆二『二人静』(光文社)
- 日本経済新聞 - 入社18年、定年までも18年で決断 盛田隆二さん
- 復興書店 - 盛田隆二 掌編「焼け跡のハイヒール」
- グラフィックノベル・仏語版 Les fruits de Shinjuku - 小説:盛田隆二、イラスト:Amandine Grandcolas
- 人気作家6人が挑む、光文社のテーマ競作小説「死様」 - Amazon.co.jp[5]
- 産経新聞 - 病と生きる 作家・盛田隆二さん(56)作家業ストレスから鬱病 「自分をはずす」と改善へ
- ほぼ日刊イトイ新聞 - 担当編集者は知っている 盛田隆二『あなたのことが、いちばんだいじ』(作品社)
脚注
[編集]- ^ [1]
- ^ 「新刊・著者インタビュー盛田隆二 幸福日和」『編集会議』2008年1月号掲載
- ^ “にいざ民報 No.1675”. jcp-niiza.daa.jp. 日本共産党. 2022年6月16日閲覧。
- ^ “盛田隆二”. Twitter. れいわ 参院選公約 ・消費税廃止 ・季節ごと1人10万円給付 ・原発即時禁止。ガス火力発電でつなぎ自然エネ100%達成 ・専守防衛と平和外交で "核なき世界"の先頭に立つ "実現不可能"との冷笑反応が目立つが、消費税がない時代の日本が豊かだったのは事実。僕は共産支持だが。. 2022年6月16日閲覧。
- ^ 人気作家6人が挑む、光文社のテーマ競作小説「死様」(2014年8月9日時点のアーカイブ) - Amazon.co.jp
外部リンク
[編集]- 盛田隆二 (@product1954) - X(旧Twitter)
- 盛田隆二アーカイヴス[2] - 盛田隆二の公式HP
- 盛田隆二WORKS - 著作案内、バイオグラフィー、ブログなど
- 盛田隆二先生の「小説の書き方講座」 - 淑徳大学公開講座
- 早稲田大学研究者データベース 盛田隆二 - J-GLOBAL 早稲田大学研究者データベース
- 講演会ドットコム - 盛田隆二プロフィール
- 川越市主催 高校生小説大賞~糠星の輝き~ - 令和元年度選考委員 盛田隆二、武田ちあき