石坂文庫
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石坂文庫(いしざかぶんこ)は、かつて台湾にあった図書館。台湾で最初に設立された個人図書館であるとともに、台湾で初めて無料開放された公共図書館でもある。
日本統治時代初期、台湾初めての図書館として台湾文庫が開館していたが、当時の日本では図書館は有償サービスであったことから、台湾文庫でも入館料を徴収していた。1909年、群馬県より中学教師として台湾に赴任した石坂荘作は台湾での図書の不足を認識、基隆に「石坂文庫」を開設し無料で開放した。文庫の住所は基隆市日新町一丁目、現在の基隆市義一路與信一路口に位置する台湾銀行附近である。建物は2階建てとなっており、当初8千冊、最終的には2万冊に及ぶ蔵書を備えた図書館であった。1階には雑誌閲覧室、新刊閲覧室、喫煙閲覧室などが、2階には男性用閲覧室、女性用閲覧室、目録棚などが設けられ現代の図書館と比べても遜色のない設備となっていた。また中庭には相撲場と健康器具が設けられ住民に無料で開放されていた。
石坂文庫の最大の特色は蔵書の貸し出し制度にある。学校や公共機関が申請を行えば、送料を負担する条件で1週間の賃貸期間で図書の貸し出しを行なっていた。当時の記録によれば台東、花蓮の台湾各地のみならず、中国の廈門や福州、沖縄県にまで貸し出しを行なっていた。
石坂文庫は1932年に当時の基隆市政府に寄贈され基隆市立基隆図書館と改称された。現在は基隆市文化局図書館として運営されている。