TRAPPIST-1d
TRAPPIST-1d | ||
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TRAPPIST-1dの想像図
(2017年2月時点の観測データに基づいたもの) | ||
星座 | みずがめ座 | |
分類 | 太陽系外惑星 岩石惑星 | |
軌道の種類 | 周回軌道 | |
発見 | ||
発見年 | 2016年[1] | |
発見者 | TRAPPIST | |
発見方法 | トランジット法 | |
軌道要素と性質 | ||
軌道長半径 (a) | 0.02228038 ± 0.00000044 au[2] (3,333,144 ± 66 km) | |
離心率 (e) | 0.00837 ± 0.00093[2] | |
公転周期 (P) | 4.049959 ± 0.000078 日[3] | |
軌道傾斜角 (i) | 89.75 ± 0.16°[4] | |
近点引数 (ω) | -8.73 ± 6.17°[2] | |
昇交点黄経 (Ω) | 173.92 ± 6.17°[2] | |
通過時刻 | 7670.14227 ± 0.00026 BJD[3] | |
TRAPPIST-1[1]の惑星 | ||
位置 元期:J2000.0 | ||
赤経 (RA, α) | 23h 06m 29.36s[5] | |
赤緯 (Dec, δ) | −05° 02′ 29.2″[5] | |
固有運動 (μ) | 赤経: 922.1 ミリ秒/年[5] 赤緯: -471.9 ± 1.8 ミリ秒/年[5] | |
距離 | 39.4 ± 1.3 光年 (12.1 ± 0.4 パーセク[1]) | |
物理的性質 | ||
直径 | 9,850 km | |
半径 | 0.784 ± 0.023 R⊕[2] | |
表面積 | 3.135×108 km2 | |
体積 | 5.220×1011 km3 | |
質量 | 0.297+0.039 −0.035 M⊕[2] | |
平均密度 | 0.616+0.067 −0.062 ρ⊕[2] (3,397+369 −342 kg/m3) | |
表面重力 | 0.483+0.052 −0.048 g[2] (4.73+0.51 −0.47 m/s2) | |
表面温度 | 282.1 ± 4.0 K[3] | |
年齢 | 30 - 80億年[6] | |
大気圧 | 不明 | |
他のカタログでの名称 | ||
K2-112 d 2MASS J23062928-0502285 d[7] |
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TRAPPIST-1dは地球から見てみずがめ座の方向に39.4光年離れた位置にある赤色矮星TRAPPIST-1のハビタブルゾーンの内側付近を公転している岩石質の太陽系外惑星である。
2016年にTRAPPISTによってトランジット法でb・cと共に発見されたと報告された[8][9]が、複数の惑星の観測データが混在していた。現在「TRAPPIST-1d」と呼ばれている惑星は、同年のスピッツァー宇宙望遠鏡の観測に基づき2017年に発表されたものである。
地球 | TRAPPIST-1d |
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発見
[編集]ベルギーのリエージュ大学の天文物理地質研究所のマイケル・ギロンを始めとする天文学者チームはチリのアタカマ砂漠のラ・シヤ天文台にあるTRAPPIST望遠鏡(Transiting Planets and Planetesimals Small Telescope)[10]を用いて恒星TRAPPIST-1を観測し、周回する惑星を探した。トランジット法を用いることにより、3つの地球型惑星を発見した。チームは2015年12月から観測を初め、ネイチャー誌2016年5月号に、その調査結果を発表した[4][10]。
しかし、不連続な観測により72.82日離れた2回のトランジットしか観測できなかったため、公転周期は72.82日の1・2・3・4・5・6・7・8・9・14・16分の1のどれかとしか推定できなかった。つまり、4.551日、5.200日、8.090日、9.101日、10.401日、12.135日、14.561日、18.202日(最適値)、24.270日、36.408日、72.820日の11通りが考えられていた[8]。2回のトランジットが別の惑星である可能性は考慮されたものの、ライトカーブの類似から、同一の惑星と推定された。
その後、2016年9月19日からのスピッツァー宇宙望遠鏡による観測によって、d、e、f、g、hの5つの惑星が特定され、2017年2月22日に発表された[4]。
TRAPPISTで発見されていた「d」は、どの新惑星とも一致していないが、それは、2惑星(dではない)のトランジットを、同じ惑星の2回のトランジットと誤認したためであった[4]。ただし、TRAPPISTや他の先行観測が検出していた、当時はトランジットと断定できなかった減光が、d・e・f・gのものと特定された。dのものはTRAPPISTで3回、ウィリアム・ハーシェル望遠鏡で1回観測されていた[4]。
特徴
[編集]物性
[編集]TRAPPIST-1dは地球の0.784倍の半径を持つ小さな地球型惑星である[2]。これは地球と火星の中間ほどの大きさであり、TRAPPIST-1系の中では、TRAPPIST-1hに次いで2番目に小さい。
質量は、現在のdが特定された2017年2月の発表では地球の0.41倍とされた[4]が、2018年2月に発表された観測結果により、現在は0.297倍前後という値になっている[2]。TRAPPIST-1系の中では、最も質量が小さい[11]。また、これまで質量の誤差が大きかったため、詳細に求められなかった密度と表面重力の値が詳細に求められ、TRAPPIST-1dは地球の0.616倍の密度を持ち、表面の重力の強さは地球の0.483倍である事も判明した[2]。
TRAPPISTに基づく2016年の発表では、半径は1.17倍とされていたが[8]、これは実際はdではなく、eとg(半径1.15倍と0.90倍)が混ざった観測に基づく数値である。さらに質量も1.60倍と推測されたが[12]、これも実際のdを表すものではない。
軌道要素と居住可能性
[編集]TRAPPIST-1dは約4.05日の周期で、主星から約0.0223au(約333万km)離れた軌道を公転している。これは太陽系で最も太陽に近い惑星である水星までの距離(0.387au[13])の約18分の1しかない。しかし、主星TRAPPIST-1が木星クラスのサイズを持つ非常に小型な恒星のため、この軌道はTRAPPIST-1のハビタブルゾーン内に位置している可能性がある。表面温度は282K(9℃)で、地球とほぼ同じとされており、また質量と密度が小さいため、水や氷、大気といった揮発性物質を含んでいる可能性がある[2][11]。
TRAPPISTに基づく2016年の軌道推定は誤った仮定に基づいていたが、その最小値(≧0.022AU)は偶然にも正しい値に近く、それに基づき当時から、最小値をとった場合にはハビタブルゾーンに入る可能性が指摘されていた[9]。
地球にどれだけ組成が似ているかを示す地球類似性指標(ESI)の値は2018年3月時点の、既知の太陽系外惑星では最も高い0.90である[14]。
画像
[編集]-
TRAPPIST-1系の7つの惑星の想像図
-
TRAPPIST-1系の惑星と太陽系の岩石惑星を比較した図
出典
[編集]- ^ a b c “Planet TRAPPIST-1 d”. The Extrasolar Planet Encycloapedia. 2017年7月13日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l Grimm, Simon L.; Demory, Brice-Olivier; Gillon, Michael; Dorn, Caroline; Agol, Eric; Burdanov, Artem; Delrez, Laetitia; Sestovic, Marko; Triaud, Amaury H.M.J.; Turbet, Martin; Bolmont, Emeline; Caldas, Anthony; de Wit, Julien; Jehin, Emmanuel; Leconte, Jeremy; Raymond, Sean N.; Van Grootel, Valerie; Burgasser, Adam J.; Carey, Sean; Fabrycky, Daniel; Heng, Kevin; Hernandez, David M.; Ingalls, James G.; Lederer, Susan; Selsis, Franck; Queloz, Didier (5 February 2018). "The nature of the TRAPPIST-1 exoplanets". arXiv:1802.01377v1 [astro-ph.EP]。
- ^ a b c Delrez, Laetitia; Gillon, Michael; H.M.J, Amaury; Brice-Oliver Demory, Triaud; de Wit, Julien; Ingalls, James; Agol, Eric; Bolmont, Emeline; Burdanov, Artem; Burgasser, Adam J.; Carey, Sean J.; Jehin, Emmanuel; Leconte, Jeremy; Lederer, Susan; Queloz, Didier; Selsis, Franck; Grootel, Valerie Van (9 January 2018). "Early 2017 observations of TRAPPIST-1 with Spitzer". arXiv:1801.02554v1 [astro-ph.EP]。
- ^ a b c d e f Gillon, Michaël; Triaud, Amaury H. M. J.; Demory, Brice-Olivier; Jehin, Emmanuël; Agol, Eric; Deck, Katherine M.; Lederer, Susan M.; de Wit, Julien et al. (2017). “Seven temperate terrestrial planets around the nearby ultracool dwarf star TRAPPIST-1”. Nature 542 (7642): 456-460. doi:10.1038/nature21360. ISSN 0028-0836 .
- ^ a b c d “SIMBAD Astronomical Database”. Result for TRAPPIST-1d. 2017年7月13日閲覧。
- ^ Luger, Rodrigo; Sestovic, Marko; Kruse, Ethan; Grimm, Simon L.; Demory, Brice-Oliver; et al. (12 March 2017). "A terrestrial-sized exoplanet at the snow line of TRAPPIST-1". arXiv:1703.04166 [astro-ph.EP]。
- ^ “TRAPPIST-1”. Open Exoplanet Catalogue. 2017年7月13日閲覧。
- ^ a b c “Temperate Earth-sized planets transiting a nearby ultracool dwarf star”. ヨーロッパ南天天文台 (2016年5月2日). 2017年7月13日閲覧。
- ^ a b “超低温の矮星の周りに、生命が存在しうる地球サイズの惑星3つを発見”. AstroArts (2016年5月9日). 2017年7月13日閲覧。
- ^ a b “Could these newly-discovered planets orbiting an ultracool dwarf host life?”. The Guardian (2016年5月2日). 2017年7月13日閲覧。
- ^ a b “TRAPPIST-1の惑星に地球に似た大気や大量の水が存在か”. AstroArts. 2018年3月15日閲覧。
- ^ Janna K. Barstow; Patrick G. J. Irwin (7 June 2016). "Habitable worlds with JWST: transit spectroscopy of the TRAPPIST-1 system?". arXiv:1605.07352v2 [astro-ph.EP]。
- ^ Mercury fact sheet NASA
- ^ Habitable Exoplanets Catalog Planetary Habitability Laboratory
- ^ “This Weird Planetary System Seems Like Something From Science Fiction”. NBC News. 2018年3月7日閲覧。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- TRAPPIST-1d - NASA Exoplanet Archive
- TRAPPIST-1 d - Exoplanet DataExplorer
- TRAPPIST-1 d - Exokyoto
- TRAPPIST-1 b, c, d, e, f, g, h - Exokyoto