ワセダミステリクラブ
ワセダミステリクラブは、早稲田大学内に存在する文化系サークル活動の一つ[1]。公式な略称は「W・M・C」だが、外部からは「ワセミス」と呼ばれることも多い。
ミステリのみならずSF、ホラー、ファンタジー、幻想小説、純文学、ライトノベルなど、対象は多岐にわたる総合文芸サークルである[2](早稲田には「SF研究会」が定着しなかったことにもよる)。
概略
[編集]1957年、仁賀克雄により創立。江戸川乱歩を顧問、文学部教授鈴木幸夫(千代有三)を会長[3]として発足した[4]。草創期のメンバーには仁賀の他に、『ミステリ百科事典』の間羊太郎や、アニメ版『巨人の星』『ムーミン』等の脚本を担当した山崎忠昭などがいる。1958年に会員の大藪春彦が作家デビューするが、これはを千代有三が彼の作品『野獣死すべし』を江戸川乱歩に紹介し、乱歩が『宝石』への掲載を推薦したことによる。
1966年に、当時立教大学在学中の戸川安宣によって立教ミステリ・クラブが設立されるが、これは戸川とワセダミステリクラブ員の交流がきっかけであった[5]。
1975年に、他の5大学のミステリ研究会[6]とともに全日本大学ミステリー連合を結成[4]。
1980年代後半から1990年代前半にかけて、ワセダミステリクラブ出身者の折原一、北村薫、山口雅也、霞流一らがあいついでデビューし、同時期デビューの京都大学推理小説研究会出身作家、同志社大学推理小説研究会出身作家、立教ミステリ・クラブ出身作家らとともに、本格ミステリの第三の波を展開させたといわれる[7]。
この他、作家、翻訳家、評論家、編集者らが出身者に多数いる。
また、OBは「ワセダミステリクラブOB会」として、他大学出身者を含めて[8]、親睦活動を行ってきた。
主な行事
[編集]主な公式行事として以下のものがある。[2]
- 読書会
- 創作読書会
- 講演会 - 学園祭「早稲田祭」にて、作家・評論家の先生をゲストに招き主催する。
- 合宿 - 夏と冬の年2回行なわれる。
主な刊行物
[編集]主な公式刊行物として以下のものがある。[2]
- PHOENIX - 機関誌。文学フリマで頒布され通信販売も行なわれている。
- Panorama - 2012年度より発行されている新歓誌。
過去の刊行物
主な出身者
[編集]あ行
[編集]- 相川司 - ミステリ・歴史評論家
- 青柳美帆子 - フリーライター
- 秋山協一郎(秋山狂介) - 編集者、大藪春彦研究家
- 浅井茉莉子 - 文藝春秋編集者
- 彩坂美月 - ミステリ小説家
- 飯野文彦 - 小説家
- 石倉笑 - 宝島社編集者
- 伊藤典夫 - SF翻訳家
- 稲村文吾 - ミステリ翻訳家
- 今泉文彦 - 茨城県石岡市長(2013年-2020年)
- 岩城忠雄 - アニメーションプロデューサー
- 大井良純 - ミステリ翻訳家
- 大津波悦子 - ミステリ評論家
- 大藪春彦 - 小説家
- 折原一 - 小説家(ミステリ作家)
- 恩田陸 - 小説家
か行
[編集]- 鏡明 - SF翻訳家・評論家
- 柿沼瑛子 - 翻訳家
- 霞流一 - 小説家
- 加瀬義雄 - ミステリ評論家
- 加藤弘一 - 評論家
- 香山二三郎[11] - ミステリ評論家。
- 北村薫 - 小説家(ミステリ作家)、アンソロジスト
- 栗本薫(中島梓) - 小説家(ミステリ・SF作家)、文芸評論家、脚本家、舞台演出家
- 黒沢哲哉 - 漫画原作者、ライター
- 小鷹信光 - ミステリ評論家・翻訳家
さ行
[編集]- 斎藤嘉久 - フリー編集者、ミステリ評論家
- 酒井昭伸 - SF翻訳家
- 酒井貞道 - ミステリ書評家
- 堺康麻呂 - ミステリ評論家
- 佐川俊彦(藤田尚) - 漫画編集者、ライター
- 里見哲朗 - アニメプロデューサー
- 式貴士(間羊太郎、蘭光生) - 小説家(SF作家)、ミステリ評論家
- しとうきねお - 漫画家、ライター
- 柴尾英令 - ゲームクリエーター、ライター
- 島崎博 - 編集者、評論家、書誌研究家
- 品川四郎 - 翻訳家、映画評論家
- 白石晶子 - 漫画家
- 白石朗 - 翻訳家
- 白須清美 - ミステリ翻訳家
- 仁賀克雄 - 評論家、翻訳家、小説家
- 新保博久 - ミステリ評論家
- 関口苑生 - ミステリ評論家
- 瀬戸川猛資 - ミステリ評論家、映画評論家、編集者
- 仙波龍英 - 歌人
- 曽根忠穂 - 編集者(SF雑誌『奇想天外』編集長)
た行
[編集]な行
[編集]は行
[編集]- 長谷部史親 - ミステリ評論家
- ひかわ玲子 - 小説家
- 福井健太 - 書評家、ミステリ評論家
- 福本直美 - 編集者、SF書評家
- 藤代鷹之 - 小説家
- 藤原龍一郎 - 歌人
- 二上洋一 - ミステリ評論家、少年小説研究家
ま行
[編集]- 牧秀彦 - 小説家(時代小説作家)
- 三川基好 - 元会長(顧問)。翻訳家。
- 汀一弘(宮地謙) - 翻訳家
- 水見稜(伊沢昭) - 小説家(SF作家)
- 三橋暁[11] - ミステリ評論家。
- 三村遼 - SF評論家、光瀬龍ファンクラブ「東キャナル市民の会」創立メンバー(本名:金田真義、他の筆名:諸沢高明、椋島凱)[13]
- 宮内悠介 - 小説家(SF作家)
- 宮岡寛 - ゲームクリエーター
- 宮田雪 - 脚本家、漫画原作者
- 宮脇孝雄 - ミステリ翻訳家
- 明神しじま - 小説家(ミステリ作家)
- 村上和久 - 翻訳家
- 森英俊 - ミステリ評論家・翻訳家
や-わ行
[編集]脚注
[編集]- ^ クラブ名表記は「ワセダ・ミステリ・クラブ」というように、三つに区切る場合も見られるが、ここでは公式ホームページの記述に準拠した。なお、大学の公式の書類上は「ワセダミステリ・クラブ」となっている[1]。
- ^ a b c 公式サイト
- ^ なおその後の第二代会長は井内雄四郎、第三代会長は三川基好
- ^ a b 『日本ミステリー事典』(権田萬治 新保博久 監修、新潮社、2000年)p176
- ^ 「あらずもがなのあとがき」戸川安宣 - 『ニッポン硬貨の謎』(北村薫、創元社〔創元推理文庫〕、2009年)p314
- ^ 慶應義塾大学推理小説同好会、青山学院大学推理小説研究会、立教ミステリ・クラブ、法政大学推理小説研究会、独協・ミステリ・クラブ
- ^ 『本格ミステリ・クロニクル300』(探偵小説研究会・編著、原書房、2002年)p8
- ^ 明治大学出身の石上三登志は、『ヒッチコック・マガジン』のファンの集まりで知合った仁賀克雄の誘いで、OB会に参加したという。(『はじめて話すけど… 小森収インタビュー集』(フリースタイル)より)。専修大学出身の日下三蔵もワセダミステリクラブOB会会員。出典:早稲田祭2007 企画紹介 道尾秀介講演会
- ^ [2]
- ^ [3]
- ^ a b http://blog.livedoor.jp/c_nagatsu/archives/52200019.html
- ^ 佐川俊彦『「JUNE」の時代』(亜紀書房)P.27、P.98
- ^ 長山靖生『SF少女マンガ全史』(筑摩書房P.246
関連項目
[編集]- 早大童話会 - 同じ早大内に存在した、著述家を多数輩出した文筆サークル。現在は早稲田文芸会。
外部リンク
[編集]- ワセダミステリクラブ - 公式サイト
- 清龍友之会 - ウェイバックマシン(2019年3月30日アーカイブ分) - 1999年度入学の出身者を中心に2001年に結成された小説同人。宮内悠介が所属。