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国鉄タキ10000形貨車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
国鉄タキ10000形貨車
タキ10000形、タキ10048 蘇我駅
タキ10000形、タキ10048
蘇我駅
基本情報
車種 タンク車
運用者 日本国有鉄道
日本貨物鉄道(JR貨物)
所有者 昭和石油日本陸運産業出光興産丸善海運共同石油日本石油輸送
製造所 汽車製造新潟鐵工所東急車輛製造川崎車輛富士車輌
製造年 1963年昭和38年) - 1967年(昭和42年)
製造数 84両
種車 タキ35000形
改造所 日本車輌製造
改造年 1979年(昭和54年)
改造数 1両
消滅 2001年平成13年)
常備駅 東新潟港駅浜川崎駅
主要諸元
車体色
専用種別 石油類(除ガソリン
化成品分類番号 31
軌間 1,067 mm
全長 12,800 mm[1]、12,620[2] mm
全幅 2,510 mm[1]、2,720[2] mm
全高 3,879 mm[1]、3,825[2] mm
タンク材質 普通鋼耐候性高張力鋼
荷重 35[1] t
実容積 41.2[1] m3
自重 17.2 t - 18.0[1] t
換算両数 積車 5.5
換算両数 空車 1.8
台車 TR41C[1]、TR41E-13[2]
車輪径 860 mm
軸距 1,650 mm
台車中心間距離 8,700[1] mm
最高速度 75 km/h
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国鉄タキ10000形貨車(こくてつタキ10000がたかしゃ)とは、1963年昭和38年)から製作された、石油類専用の 35 tタンク貨車私有貨車)である。製造時は日本国有鉄道(国鉄)、1987年(昭和62年)の国鉄分割民営化後は日本貨物鉄道(JR貨物)に車籍を有した。

同様の車体構造で同時に製作されたガソリン専用タンク車タキ9750形についても本項目で解説する。

概要

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タキ1500形・タキ3000形の後継形式として製作され、タキ9800形・タキ9900形と並行して製作されたが、大量に製作するまでには至らなかった。タンク体を太くして車長を短くし、台枠高張力鋼製をハット断面にプレス成型したもの使い、側梁を廃止して軽量化している。その後の製作は標準設計方式を採り入れ、製作コストの適正化を図ったタキ35000形に移行した。

本系列は、1962年(昭和37年)から1979年(昭和54年)にかけて、汽車製造ほか5社で2形式合計103両が製作された。

構造

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車体は軽量化のため、台枠の側梁を省略している。タンク体はドーム付きでタキ10000形が普通鋼製、タキ9750形とタキ10000形の一部は耐候性高張力鋼製である。塗色はである。

荷役方式はタンク上部のドームから積み込み、タンク下部中央に設けた吐出管を用いる上入れ・下出し方式である。

台車はTR41C、ブレーキ装置は手ブレーキ空気ブレーキである。

形式別詳説

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タキ10000形

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異径胴車(タキ10063)
タキ10000 - タキ10083

35 t 積の石油類(除ガソリン)専用タンク車である。1963年(昭和38年)5月27日から1967年(昭和42年)11月27日にかけて84両(タキ10000 - タキ10083)が汽車製造・新潟鐵工所東急車輛製造川崎車輛富士車輌で製造製作された。

落成時の所有者は、昭和石油日本陸運産業出光興産丸善海運共同石油日本石油輸送の6社であった。

1979年(昭和54年)10月より化成品分類番号31」(燃焼性の物質、引火性液体、危険性度合2(中))が標記された。

C重油など高比重・高粘度の油種を輸送するための車両で、タンク端の鏡板には大型の点検蓋を設け、取卸時に積荷の流動性を確保するため、タンク内部には高圧蒸気を通す加熱管を装備する。

タンク体は直円筒形であるが、タキ10063とタキ10064は両端が絞られた異径胴となっている。タキ10083はブレーキ装置が積空ブレーキに変更された。

タキ10084(外部加熱方式試作車)

タキ10084は1979年(昭和54年)2月19日に外部加熱方式の試作車としてタキ35000形 (タキ36104) から日本車輌製造で改造し、タキ10000形に編入した車両である。種車の台枠以下を流用し、タキ38000形に類似した異径胴のタンク体新製した。台車はオイルダンパを併設したTR41E形を積車重量増加に伴い改造を施したTR41ES-13形である。

1987年(昭和62年)4月の国鉄分割民営化時には43両がJR貨物に継承され、1995年平成7年)度末時点では23両が現存していたが、2001年(平成13年)4月に最後まで在籍した1両(タキ10024)が廃車となり同時に形式消滅となった。

各年度による製造会社と両数、所有者は次のとおりである。(所有者は落成時の社名)

  • 昭和38年度 - 25両
    • 汽車製造 10両 昭和石油(タキ10000 - タキ10009)
    • 汽車製造 5両 日本陸運産業(タキ10010 - タキ10014)
    • 新潟鐵工所 3両 昭和石油(タキ10015 - タキ10017)
    • 東急車輛製造 2両 昭和石油(タキ10018・タキ10019)
    • 汽車製造 3両 昭和石油(タキ10020 - タキ10022)
    • 川崎車輛 2両 昭和石油(タキ10023・タキ10024)
  • 昭和39年度 - 29両
    • 東急車輛製造 18両 日本陸運産業(タキ10025 - タキ10042)
    • 汽車製造 3両 出光興産(タキ10043 - タキ10045)
    • 汽車製造 3両 丸善海運(タキ10046 - タキ10048)
    • 新潟鐵工所 5両 日本陸運産業(タキ10049 - タキ10053)
  • 昭和40年度 - 9両
    • 汽車製造 2両 日本陸運産業(タキ10054・タキ10055)
    • 東急車輛製造 1両 昭和石油(タキ10056)
    • 汽車製造 3両 昭和石油(タキ10057 - タキ10059)
    • 富士車輌 1両 昭和石油(タキ10060)
    • 川崎車輛 2両 昭和石油(タキ10061・タキ10062)
  • 昭和41年度 - 11両
    • 汽車製造 2両 丸善海運(タキ10063・タキ10064)
    • 東急車輛製造 9両 日本陸運産業(タキ10065 - タキ10073)
  • 昭和42年度 - 10両
    • 東急車輛製造 10両 共同石油(タキ10074 - タキ10083)
  • 昭和53年度 - 1両 (タキ36104よりの改造年度、種車は昭和48年度富士重工業製)
    • 日本車輌製造(改造所) 1両 日本石油輸送(タキ10084)

タキ9750形

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国鉄タキ9750形貨車
タキ9750形タキ9761 1995年7月30日、西港駅
タキ9750形タキ9761
1995年7月30日、西港駅
基本情報
車種 タンク車
運用者 日本国有鉄道
日本貨物鉄道(JR貨物)
所有者 日本石油輸送、昭和石油、丸善海運、日本陸運産業
製造所 汽車製造
製造年 1962年(昭和37年) - 1966年(昭和41年)
製造数 19両
消滅 2001年(平成13年)
常備駅 東新潟港駅石油埠頭駅
主要諸元
車体色
専用種別 ガソリン
化成品分類番号 32
軌間 1,067 mm
全長 14,300 mm
全幅 2,510 mm
全高 3,881 mm
タンク材質 耐候性高張力鋼
荷重 35 t
実容積 48.0 m3
自重 18.4 t
換算両数 積車 5.0
換算両数 空車 1.6
台車 TR41C
車輪径 860 mm
軸距 1,650 mm
台車中心間距離 10,200 mm
最高速度 75 km/h
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35 t 積のガソリン専用タンク車である。1962年(昭和37年)12月5日から1966年(昭和41年)9月29日にかけて4ロット19両(タキ9750 - タキ9768)が汽車製造1社で製作された。タンク体はタキ10000形より長く、タキ9750は直円筒形、タキ9751以降は両端が絞られた異径胴となっている。

落成時の所有者は、昭和石油、丸善海運、日本陸運産業の3社であった。

所有者の変遷が多い形式であり、生涯所有者が変わらなかった車は5両(タキ9750、タキ9754、タキ9757 - タキ9758、タキ9763)だけであった。

1966年(昭和41年)10月28日に丸善海運所有全車(3両)が丸善石油へ名義変更された。更にこの3両は1972年(昭和47年)10月18日に日本石油輸送へ名義変更された。

1976年(昭和51年)4月22日に日本陸運産業所有車2両(タキ9755・タキ9756)が日本石油輸送へ名義変更された。この2両は4年後の1980年(昭和55年)7月3日に再度日本陸運産業所有となり、更に1年後の1981年(昭和56年)12月15日に再度日本石油輸送となり、なおかつ7年後の1988年(昭和63年)4月26日に再々度日本陸運産業所有となった。この様に両社の間を2往復した。

1984年(昭和59年)8月9日から同年9月8日にかけて昭和石油所有車9両(タキ9759 - タキ9762、タキ9764 - タキ9768)が日本石油輸送へ名義変更された。

1979年(昭和54年)10月より化成品分類番号「32」(燃焼性の物質、引火性液体、危険性度合1(大))が標記された。

1987年(昭和62年)4月の国鉄分割民営化時には15両がJR貨物に継承され、1995年(平成7年)度末時点では8両(タキ9759 - タキ9762、タキ9764、タキ9765、タキ9767、タキ9768)が現存していたが、2001年(平成13年)4月に最後まで在籍した1両(タキ9768)が廃車となり同時に形式消滅となった。

各年度による製造会社と両数、所有者は次のとおりである。(所有者は落成時の社名)

  • 昭和37年度 - 1両
    • 汽車製造 1両 昭和石油(タキ9750)
  • 昭和40年度 - 8両
    • 汽車製造 3両 丸善海運(タキ9751 - タキ9753)
    • 汽車製造 5両 日本陸運産業(タキ9754 - タキ9758)
  • 昭和41年度 - 10両
    • 汽車製造 10両 昭和石油(タキ9759 - タキ9768)

派生形式

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タキ950形

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35 t 積ベンゾール専用車。1965年(昭和40年)6月30日に2両(タキ950 - タキ951)が新潟鐵工所で製作された。東室蘭駅を常備駅として北一産業が使用したが1986年(昭和61年)11月29日廃車となり形式消滅した。

タキ20000形

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35 t 積の石油類(除ガソリン)専用車。保温キセ(外板)を持つC重油など高比重・高粘度の油種を輸送するための車両で1964年(昭和39年)から1968年(昭和43年)にかけて33両(タキ20000 - タキ20032)が汽車製造・川崎車輛・富士重工業で製作された。

注釈

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  1. ^ a b c d e f g h 「形式図番号VC03728 形式タキ10000」(鉄道史資料保存会編 『国鉄貨車形式図集II』、1995年〔3版〕、p.139)
  2. ^ a b c d 「タキ10000形10084号」(吉岡心平 『プロフェッサー吉岡の私有貨車図鑑』 1997年、ネコ・パブリッシング刊、p.152)※すなわちこれらの値はタキ10084のものである。

参考文献

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  • 鉄道公報
  • 吉岡心平 『プロフェッサー吉岡の私有貨車図鑑(復刻増補)』 2008年、ネコ・パブリッシングISBN 978-4-7770-0583-3
  • 鉄道史資料保存会編 『国鉄貨車形式図集II』、1995年〔3版〕
  • 『日本の貨車―技術発達史』(貨車技術発達史編纂委員会編著、社団法人 日本鉄道車輌工業会刊、2008年)

関連項目

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